この記事には特に、国内外での展示会やイベント事業者のAR活用事例をピックアップしてまとめていきます。
そもそもARとは
ARとは「Augmented Reality」の略で、一般的に「拡張現実」と訳されます。
ゴーグルの中を100%バーチャルワールドにするVR(Virtual Reality)とは異なり、スマホやARグラスで実在する風景にバーチャルの視覚情報を重ねて表示することで、目の前にある”現実の世界を拡張する”というものを「AR」と総称します。
ARと展示会やイベントの相性が良い理由とは
ARと展示会やイベントは相性がよい組み合わせです。
まずこちらでは、なぜARとマーケティングは相性がよいといわれているのかを解説します。
①インタラクティブな体験を提供できる
ARを活用することによって、CGならでは表現を行うことが可能です。また、ユーザーの操作によって演出が変化するようなインタラクティブな表現も可能です。
例えば美術館であれば、これまでだと「静止画を見る」という一方向の体験でしたが、これがARを活用していくと双方向にすることが可能です。
作品をARと一体化することで、来場者が触れられるようにしたり、あるいは「触れた」という動作をコンピュータが検出してユーザーの動きに合わせて反応したり変化したりするようなインタラクションを設計したりすると、これまでとは全く違ったユーザー体験になるでしょう。
②施設工事を不要で演出を追加できる
また、施設工事が不要なのも、ARの大きなメリットの一つです。ソフトウェアで提供できるため、実際に内装を施設工事するより大きくコストを抑えることが可能になってしまいます。シーズン毎の演出の切り替えなどにも相性が大変良いです。
内装費用をかけないのに、体験がリッチになってしまう。従来の主砲に比べてコストが下がるのに、逆に体験の質はよくなってしまう。こういった従来のやり方を破壊するようなインパクトがイノベーションだと考えると、ARはまさに世の中を大きく変化させるテクノロジーだと理解できます。
③什器や模型を気軽に表示できる
これまでの展示会で必要だった「什器」は、その準備段階でも参考資料として模型が必要だったり、模型の作成のために3D制作ツールでプロトタイプを用意したり、さまざまな作業が多く生じていました。
準備中に用意した模型の3DモデルをARとしてそのまま表示すれば、サンプルを実物として作る必要性もなくなり、展示会で自社のブースを設置するまでの工数や制作コストを大幅に圧縮することができます。
コンペになれば、什器のサンプルを用意しなくてもARで目の前に提示できるため、よりイメージが湧きやすく競合との差別化を実現できます。競合よりも価格が安いのに品質が高い提案ができるようになるため、展示会を扱う印刷会社やイベント制作会社にとって「AR」は武器になります。
IKEAのARアプリ「IKEA Place」とは?ARがもたらす変化
④ユーザーも楽しめる
OnePlanetのWebAR導入事例として、プロスポーツチーム「広島ドラゴンフライズ」のWebAR開発実績になります。
ARの大きな特徴が、ユーザーが楽しみながら情報を得られることで、ARを取り入れた広告は、企業側が伝えたい情報を届けるだけではなく、ユーザーが能動的に楽しめます。
結果として、ユーザーの記憶に残るうえに、企業に対し好印象を持つようになるというメリットがあります。
スポーツ業界であれば、スタジアムに行けなくても目の前の現実世界に選手が出現してくれるようなAR体験はファンの心を動かしますよね。
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⑤情報が拡散されやすい
先述のとおり、ARはユーザーに楽しい経験を与えながら、情報が届けられます。楽しかった、興味深い体験だったという印象が残れば、ユーザーがその経験を誰かに伝えたくなります。
SNSなどのユーザー数が多いプラットフォームで紹介されると、さらに拡散されて多くの人にリーチできるでしょう。
そうにゃんARスタンプ超楽しい(●´⁰౪⁰`●) pic.twitter.com/TjOxjZdF17
— 新々キョダモさん(●⁰౪⁰●) (@1919tissue) March 15, 2022
イベントや展示会、商業施設でのAR活用事例
展示会やイベント会場での誘客、満足度向上につながる国内外のAR施策をご紹介してまいります。
相模鉄道のARスタンプラリーの事例
こちらは2022年3月にリリースされた相模鉄道の「ARスタンプラリー」という企画で、沿線にある3ヶ所の商業施設を巡りながらスタンプを貯めていくARイベントの事例です。
横浜駅を含む、相模鉄道沿線にある大型の商業施設3箇所にAR体験ができるパネルを設置し、それらを周遊してスタンプを貯めると特典がもらえるというイベントになっています。
こういったARイベントにおいては、「ストレスなく、誰でも手軽に楽しめること」が重要ですが、それを担保する技術が「WebAR」です。専用アプリのインストールをせずとも、QRコードを読み取るだけで誰でも気軽に体験ができます。
こちらの相模鉄道の「ARスタンプラリー」は、OnePlanetが提供するWebAR制作ツール「Planetar(プラネター)」を活用して実現されたARを活用した地域密着イベントです。
プログラミングをせずにARに加えてARスタンプラリーの制作までできるツールになっているため、コストを抑えて自社オリジナルのイベント開催を実現しています。
こんな素敵なSNS投稿が生まれてくるのもWebARを活かしたイベントならではですね。
相鉄のそうにゃんARがかなり楽しいので行った人はぜひ体験を。 pic.twitter.com/FWHLlCrcgB
— TIP! on tDiary (@TIP_on_tDiary) March 19, 2022
相模鉄道 公式サイト:動く「そうにゃん」を体験できる「春のそうにゃんARスタンプラリー」を開催
BMWによるARを使った展示会の事例
「BMW」は、ベルギーのブリュッセルにオープンした同社の旗艦店内にあるショールームにて、ARを導入しています。
展示されたエンジンの前に設置されたタブレットを通してエンジンを見ると、展示されているエンジンの内部構造までも立体的に覗き見ることができるようになっています。現実では見ることができない部分を最先端のデジタル技術によって見せる、まさにAR展示会といった活用方法です。
ショールームに来た人たちはエンジン内部で何が起こっているのか、そしてエンジンに関する技術的な事実をリアルタイムで説明してくれるARによって、BMWのガソリンエンジンがどのように機能するかを、よりよく理解することができます。
エンジンのように複雑な自動車部品はどうしても素人には説明が難しくなってしまうため、ARによって、3Dアニメーションに説明を重ねた情報を表示させることで、より直感的にその素晴らしさを理解してもらうことができます。
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引用:Augmented Reality used at BMW flagship store. Guess for what …
長野県上田市|桜千本まつり(お花見イベント)のAR事例
こちらは長野県上田市が毎年開催している「千本桜まつり」というイベントでのARの事例です。
こちらの正方形の画像が3メートル×3メートルという大きさで、駅前にタペストリーとして貼られ、別で用意されているQRコードから立ち上がるカメラをかざすと桜の花びらが舞い散る演出をARで提供しました。
お花見につい行きたくなるような可愛いARを駅構内に仕込んでおくことで、イベントへの誘客を実現させたARの事例です。
こちらのAR制作にも先ほどのWebARの制作ツールが活用されています。
スターバックス(店舗限定のお花見AR)の事例
スターバックスでも、桜のARを活用した店舗内イベントを実施しています。
毎年桜の季節になると店舗でのマーケティングに「桜AR」を活用しており、「#スターバックスさくら」でInstagramを検索すると多くのユーザー投稿を見ることができます。
「お店に行かないとできない」という店舗限定の企画にすることで集客力を生み出し、さらに桜味のフラペチーノを味わいながら桜ARで記念撮影をしたいというユーザーの心を見事に捉えたSNSとARが連動した施策となっています。
以下の記事でも詳しく紹介しているので、ぜひご覧ください。
スタバの桜ARを利用したリアル店舗マーケティングの考察
ULTRA JAPAN(イベント・フェス)のAR事例
こちらはInstagramのARを使ったイベントプロモーションの事例です。
著名な音楽フェスであるULTRA JAPANのアカウントでは額にネオンが表示されるおしゃれな演出を提供しています。
イベントのアイコンとなるマークやロゴ、「TOKYO」という文字などが入れ替わりで表示される他、投稿発生率を高める工夫として美肌になる演出もあります。イベントを盛り上げる一つのツールとしてARを展開した事例となっています。
EXPO2020ドバイ(イベント・万博)のAR事例
こちらもInstagramのARを活用した事例です。
ドバイ国際博覧会のInstagramでは、国際博覧会を想起するようなバルーンや花火が打ち上がる演出をARで提供しています。とてもポップで楽しい印象を与えています。
スワイプすると3つの選択肢から選べるようになっており、国旗をモチーフにした2種のフェイスペイントとサングラスが楽しめます。
ARで、どこにいても擬似的にドバイ国際博覧会へ行ったような気分になれるARの演出です。
万博をプロモーションするARということで、2025年に予定されている「大阪・関西万博」でもARを活用して日本が先端技術を活用したエンターテインメントやプロモーションを活用していきたいですね。
東京ガールズコレクション(ファッションイベント)の事例
こちらもInstagramのARの事例です。
東京ガールズコレクションの公式アカウントでは、額にネオンが表示される演出と、顔へのフェイスペイント、ハートマークが空間中に表示されて色が変化していく演出が、複合的に提供されています。
撮影する人が「可愛い」と感じられる演出をARで提供し、撮影・投稿を促すような導線になっています。
NINJA SNOW HIGHLAND(娯楽施設のエンタメコンテンツ)の事例
こちらは長野県須坂市のスキー場&雪山エンターテインメント「NINJA SNOWHIGHLAND」で展開された巨大忍者が出現するARです。
スキー場内に設置された巨大パネルから、10メートル級の3D制作された巨大忍者がスキー場現地に出現するという大変ダイナミックなAR体験できるテクノロジーを活用した新しいエンターテインメントです。
出現した3色の忍者はそれぞれ踊り始めて、パネル中央に立つと、被写体はAR忍者と共に一緒に記念撮影をすることができます。
こちらでも「WebAR」の技術により専用アプリなしでQRコードを読み取れば誰でも体験することができるようになっていて、手軽に遊んでもらうことができる点が特徴です。
先ほどと同じ「Planetar(プラネター)」というWebARの制作ツールを活用しており、3DコンテンツをアップロードするだけでARを制作しています。外部の制作会社に開発を依頼するコストを抑えてWow!な体験を実現できた事例です。
ノーコードでWebARを制作できるツールも登場
「ARコンテンツでブランドの価値を高める」というニーズに対して、特に専用アプリのインストールが不要な「WebAR」を選択するケースが増えていますが、その背景にノーコードで簡単にWebARコンテンツを制作できるツールの登場があります。
もともとWebARを活用したキャンペーンは0から開発する事例が主流でしたが写真や画像をアップロードするだけで、プログラミングをしなくてもARを制作できるため、プログラミングの知識や外部の制作会社を必要とせず、コストを抑えて自分達でARを使ったキャンペーンを展開できます。
先ほど紹介したWebAR制作ツール「Planetar(プラネター)」を活用することで、ARコンテンツの制作からGPSによる位置情報の制御、ARを使ったスタンプラリーの制作まで、システムの中でARに関する多様なAR体験を簡単に実現できます。
実際に、ロサンゼルスの焼肉店ではこちらのように可愛いキャラクターが出現する「お店AR」を同ツールを使って手軽に導入しています。
他にも様々な業界でWebARの手軽な導入が進んでおり、プログラミングをせずに簡単にオリジナルのWebARコンテンツを制作するツールを検討してみるのも良いでしょう。
まとめ
以上、国内外のイベントや展示会、商業施設でのAR活用事例を解説しました。
イベントや美術館でのARの導入事例など、印象的なプロモーションが多かったですね。
商業施設やイベント会場に問わず、ARを活用したマーケティングはあらゆる産業で日増しに重要になっており、今後は必須のアプローチとなるでしょう。
本メディア「ARマーケティングラボ」を運営するOnePlanetでは、ARエフェクトの開発、ARを活用したキャンペーン拡散やブランディングにおいて、様々な業界での多数の実績を有しています。
また、近年話題のメタバースやNFTに関連した最先端のソリューションも提供しています。 ARやメタバースのビジネス活用を検討していましたら、お気軽にご相談ください。
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