現実世界にデジタル情報を追加するAR技術。教育や製造業などあらゆる場面で活用されていますが、ARが大きな変化を起こしている1つが、スポーツ業界です。
単なる勝ち負けではなく「エンタメ」「興業」という文脈ではARを使ったワクワクする体験が大きな付加価値になっており、例えばBリーグ(プロバスケットリーグ)のチームである広島ドラゴンフライズは、パネルにカメラをかざすと選手が動き出す「AR選手パネル」を展開し、スタジアムやアリーナの中の体験をデジタル技術によってリッチ化しています。
カメラをかざすと反応が返ってくる体験を「インタラクティブ」と言いますが、このようなワクワクする体験はカスタマーのエンゲージメントを高めます。また、その他にもスポーツ業界がARを活用することで、観戦やマーケティング、ファンのエクスペリエンス向上の仕方まで変わります。この記事では、スポーツ業界におけるAR活用事例を中心に解説していきます。
目次
スポーツ業界におけるARの活用方法
まずはスポーツ業界での、ARの使われ方を4つの用途に分けて解説します。どの用途にも通じるのは、ARがファンのエクスペリエンスを向上させることです。
- スタジアムでのスポーツ観戦
- スポーツ中継
- マーケティング
- アスリートのトレーニング
スタジアムでのスポーツ観戦
臨場感あふれる現地でのスポーツ観戦ですが、テレビ中継のように、細かな選手の動きを確認できないなどのデメリットもあります。AR技術を駆使すれば、そんなデメリットを解決できるのです。
例えば、スマホやスマートグラスでフィールドをかざせば、選手情報を確認したり、別アングルで撮影された映像を見たりすることが可能になります。AR技術を組み合わせることで、スタジアム観戦ならではの良さを残しつつ、弱点を克服できるのです。特に、超高速・大容量・低遅延が特徴の5Gが実用化された今、ARを活用したスタジアム観戦は一層普及すると予想されます。
スポーツ中継
スポーツ中継にARカメラを導入している放送局は増えています。しかし、現在のところスタジオでの解説や中継映像にAR情報を表示しているところがほとんどで、家庭でのAR映像はまだ実用化されていません。
もし今後、AR映像が家庭にも普及すると、スポーツ観戦が大きく変わるでしょう。スマホやスマートグラスをテレビにかざせば、実寸大の選手が目の前に現れ、現地で見ているかのような大迫力のプレー観戦ができる可能性さえあるのです。
マーケティング
あらゆるスポーツイベントにはスポンサーがつきもの。スポーツの試合は全世界で放送されるので、スポンサー側からしても、大会での宣伝は重要です。ARのようなテクノロジーを使えば、視聴者とインタラクティブな広告作成が可能となります。スタジアムの広告はもちろん、チケットやパンフレット、ポスター、ドリンクのコップさえもAR広告にできるのです。
特に30歳以下の若者は、従来の広告よりもインタラクティブな広告を好む傾向にあります。目新しく参加型のAR広告なら、消費者に好まれるでしょう。さらに、AR広告ならではの強みが、効率的に顧客に関する情報収集を行えることです。集めた情報をもとにして、ユーザーに合わせた広告のパーソナライズ化も可能です。そうなると、ユーザーの満足度と売上アップを同時に期待できます。
アスリートのトレーニング
ARが最も力を発揮する場面は、アスリートのトレーニングかもしれません。例えば、お手本となるフォームを3D映像で撮影し、その映像をAR技術で再現しながら、アスリートは効率的にフォーム作りを行えます。もしくは、チーム全体の動きをARで確認しながら、戦術作りも可能です。
ARを導入したトレーニングが一般的になれば、各選手のレベルが上がり、結果的に試合のクオリティが高まる可能性さえあります。そうなると、ファンの満足度も上がることでしょう。
ARを活用したテクノスポーツが誕生
ARテクノロジーは、既存のスポーツ観戦や宣伝の仕方を変えるほか、新たなスポーツも誕生させました。現在、世界で最も注目されているテクノスポーツが「HADO」。ここからは、「HADO」について詳しく解説します。
テクノスポーツの先駆け「HADO」とは
「HADO」とは、AR技術とスポーツを組み合わせた最先端スポーツです。舞台はあくまでも現実世界で、ARテクノロジーの力で、エナジーボールやシールドを作り出します。競技ルールはシンプルで、エナジーボールを相手にヒットさせるだけ。基本的にはチーム戦で、相手チームメンバーを全員倒したら、勝利となります。
「HADO」の技術解説へ移りましょう。プレーヤーは頭にヘッドマウントディスプレイ、腕にアームセンサーを装着します。ヘッドマウントディスプレイがARによる映像をリアルタイムで映し出すのです。アームセンサーはユーザーの腕の動きを正確に感知。腕を上にあげるとエナジーボールを作ります。一方、腕を下にさげることで、シールドを作るのです。「HADO」は2014年に日本で誕生し、今では世界160万人以上の人々に愛されるテクノスポーツの代表的存在となりました。年間100大会以上開催され、世界大会の優勝賞金は300万円にもなるほどです。
「HADO」は年齢や運動神経による能力の格差をなくす
「HADO」の画期的な点は、誰でも簡単にプレイできることです。従来のスポーツは、年齢や性別、運動神経などにより、大きく差がでました。しかし、「HADO」は特別な運動神経や筋力は必要なければ、障害を持った方でも楽しめます。肉体的なスポーツというよりは、頭脳的なゲームなので、運動神経や筋力の差などに関係なく、平等にプレイできるのです。
「HADO」はテクノロジーの力で、あらゆるボーダーをなくした良い例でしょう。まだまだテクノスポーツ市場は発展途上段階ですが、今後はスポーツやEスポーツのように、大きなスポーツジャンルとして確立される可能性は十分にあります。
体験できる施設
「HADO」は取り扱い店舗に行けば、誰でもプレイできます。必要道具は貸してもらえるので、特別な準備も要りません。楽しみながらAR技術を体感できるので、機会があれば一度体験してみてはいかがでしょうか。日本での「HADO」体験可能施設はつぎの通りです。
- HADO ARENA HIBIYA
- ミズノスポーツプラザ千住
- XCUBE:エクスキューブ
- ウェルネススクエア新栄
- トランポリンパークMr.JUMP大高
- VS PARK
- NEWレオマワールド
スポーツ放送でARを活用した3事例
大多数の人々は、家庭でスポーツ試合を視聴します。視聴者のエンゲージメントを高めることが、放送局や番組にとって重要です。すでにAR技術を駆使して、3Dグラフィックや選手データ表示をしている放送局があります。次の3つが、スポーツ放送でARを使った事例です。
- FOX Sports
- ラ・リーガ
- ESPN
事例①FOX Sports
新型コロナウイルスの影響で、スポーツは大きな変化を求められました。特に大きな変化は、スタジアムに入れる観客の数が制限されたことでしょう。テレビネットワーク「FOX Sports」は、かつてのように観客で満員のスタジアムを見せることで、視聴者に日常からの逃避を提供できると考えました。
そこで、AR技術を駆使してバーチャル観客を作ることにしたのです。技術は、ARテクノロジーとカメラ追跡機能、そしてリアルタイムのグラフィック作成機能を組み合わせています。カメラの動きに合わせて、リアルタイムでARがバーチャル観客を視聴者に表示するのです。
しかし、観客を作れなかったり、動きがリアルでなかったりすることから、まだまだ修正が必要なのも事実。「FOX Sports」の取り組みは、AR技術でバーチャル観客を作り出すものですが、AR技術でスタジアム上に本物の観客を映し出せれば、おもしろくなるかもしれません。
事例②ラ・リーガ
スポーツ放送の際、選手や試合に関するデータを視聴者に表示することで、観客はより深く試合を理解できるようになります。スペインのサッカーリーグ「ラ・リーガ」は通信グループ「Mediapro」とパートナーシップを組み、ARテクノロジーで視聴者の試合への理解を深めることにしました。
ARはリアルタイムで、選手プロフィールや走行距離、フリーキック成功確率など事細かに表示するのです。それはまるでビデオゲームを見ているかのようなもの。ビジュアルデータを表示することで、視聴者は一層ゲームに没入できるようになりました。
事例③ESPN
「ESPN」が放送するスポーツ番組「Around the Horn」では、司会者が世界各国に住むスポーツジャーナリストなどのパネリストと、リモートで議論を交わします。番組は視聴者の関心を高めるため、AR技術を導入することにしたのです。
従来は、パネリストとのビデオ通話画面を映していました。しかし、AR技術を導入したことで、パネリストを映した3Dグラフィックがスタジオに浮いた状態となり、パネル画面を自由に動かすことも可能になりました。番組の司会者によると、デザイン面で視聴者が見やすくなっただけではなく、パネリストによる議論が一層活発になったそうです。
マーケティング・ファンの満足度向上でARを活用した6事例
スポーツの世界では、試合に勝つのと同じくらい、利益を上げることが重要。AR技術を駆使することで、ファンの満足度やグッズの売り上げなどを高められるのです。ここからは、スポーツマーケティングやファンの満足度を高めるために、ARを活用した事例を紹介していきます。
- マツダ
- ダラス・マーベリックス
- ミネソタ・バイキングス
- サンフランシスコ・フォーティナイナーズ
- PUMA
事例①マツダ
「マツダ」のレーシングチームは、ファンにピットクルーとして働く体験を提供しました。しかし、実際にピットクルーになるのは不可能。そこでAR技術を活用したのです。
大きなLEDスクリーンの前にファンが立つと、スクリーンに実際のピット作業シーンが映し出されます。リアルタイムでARが、ファンをスクリーン映像に重ね合わせることで、ピット作業の仮想体験を行えるのです。
体験中の映像は録画され、ファンのメールアドレスに動画として送信されました。レースに訪れたファンにとって、良きお土産になったことは言うまでもありません。
事例②ダラス・マーベリックス
NBAの「ダラス・マーベリックス」は、フェイスブック上でARフィルターを作成しました。ARマーカーとしたのは、街中にあるチームのポスターです。ユーザーはスマホでポスターをかざすことで、特別な映像を視聴できるのです。さらに、指定のシュートを撮影した動画をSNSに投稿すると、スター選手のサイン入りジャージがプレゼントされる企画も実施されました。このようにAR広告を活用することで、ファンのエンゲージメントは高まるでしょう。
事例③ミネソタ・バイキングス
NFLの「ミネソタ・バイキングス」は専用アプリにAR機能をつけました。アプリを起動して、毎年ファンに配布するプレイブックをスキャンすると、選手がファンに直接語りかける仕組みとなっています。ビデオが流れた後は、選手とセルフィーを撮影することも可能。結果、アプリのダウンロード数は58%も増加、ARコンテンツの平均滞在時間は約1分と素晴らしいものになっています。
事例④サンフランシスコ・フォーティナイナーズ
スポーツチームの主な収入源は、スポンサー資金とグッズの売上です。これからは、グッズをAR化して、売り上げ増加を目指すのが普通になるかもしれません。
フットボールチーム「サンフランシスコ・フォーティナイナーズ」は、マグカップのデザインをARマーカーにしました。ファンは専用アプリでマグカップをスキャンすることで、試合のハイライトを視聴できるのです。従来のスポーツグッズは値段の割に価値が低いです。しかしARを付与することで、値段と価値が釣り合うようになります。
事例⑤PUMA
スポーツウェアブランド「PUMA」は、北米初となるフラッグショップの宣伝を兼ねて、AR体験を提供しました。「PUMA」のモバイルアプリからQRコードをスキャンすると、マスコットキャラクターが登場します。キャラクターはユーザーを、バスケット用品売り場まで案内するのです。さらに商品コードをスキャンすることで、ARによる商品紹介を楽しめます。
事例⑥Bリーグ 広島ドラゴンフライズ「AR選手パネル」
記事の冒頭でも紹介した広島ドラゴンフライズは「AR選手パネル」を展開しており、実際にスタジアムでファンの心を動かしています。これは「プラネター」という3D等の専門知識なしにアプリ不要のWebARを制作できるツールによって実現されています。
カメラをかざすと反応が返ってくる体験を「インタラクティブ」と言いますが、このようなワクワクする体験はカスタマーのエンゲージメントを高めます。セールスプロモーション(SP)業界でのAR利用が広がってきた背景に、アプリ不要の「Web AR」の制作が簡単で手軽になったことがあります。
リッチで大規模なAR体験は開発コストが非常に高価になりますし、アプリが必要なタイプのARは体験が良くても利用されません。こちらの事例のように、安価で手軽にARをファン向けに提供する方法を選択することが、スポーツビジネスでは重要になっていくことでしょう。
スタジアム観戦でARを活用した3事例
5Gが実用化されたことで、スタジアムにARを導入しやすくなりました。これから、スタジアム観戦がよりスマートなものになることでしょう。ここからは、スタジアム観戦でARを使った事例を見ていきましょう。
- SKワイバーンズ
- パナソニック
- KDDI
事例①SKワイバーンズ(韓国プロ野球チーム)
こちらは専用アプリを使って体験できるスタジアムでのARマーケティングの事例です。
SKワイバーンズ(에스케이 와이번스、英語: SK Wyverns)とは、KBOリーグに所属する大韓民国のプロ野球チームです。ホームタウンは仁川広域市。
韓国有数の企業グループ・SKグループの傘下にあるチームです。 2000年のアジア通貨危機で経営危機に陥った繊維メーカーのサンバンウルが傘下のチームを解散したあとにSKグループがその選手たちを受け入れて新設されたチームです。
チーム名の「ワイバーン」とは ワイバーンとは、尾がすばらしいとされる神話上の2本足のドラゴンです。
AR体験については、以下の動画の通りスタジアムにARドラゴンが現れてファンたちを楽しませました。
ドラゴンは空中を一周した後、ダイヤモンドの真ん中にあるプラットフォームに着陸する演出となっています。その間、来場したファンはスマートフォンのアプリを見ていたとのことなので、アプリでARを提供したのですね。
スタジアムとARの相性の良さ①開放性
少し詳しく解説していきます。まず動画を見てわかることは、スタジアムとARの相性の良さです。以下にスタジアムとARの相性が良いと感じた部分について記載していきます。建物が入り組んだ場所でドラゴンを出現させると建物の形状を認識する「オクルージョン」と呼ばれる技術が求められます。以下の動画は同じドラゴンが出現するSnapchatのLandmarkeresというARですが、建物の前後をきれいに認識していることがわかります。
Lo que Snapchat está haciendo con sus “Landmark trackers” (por llamarles de alguna forma) esta increíble. Básicamente y en forma muy simplificada, edificios en la vida real son el tracker para experiencias en AR y este ejemplo de Game of Thrones es 😮 WOW pic.twitter.com/fJYsHl4lsi
— Oscar Yasser Noriega “Akira” (@akirareiko) April 17, 2019
オクルージョンの有無はプロジェクトの難易度やユーザーの端末/スペックなどを大きく左右する要素にもなりうるため、スタジアムでのARは難易度の高い技術を必要とせずに同じような空間全体を使ったユーザー体験を提供できることは、結果としてダイナミックな体験を提供しながら、並行してAR導入のコストを抑えることにもなります。
これは、スタジアムという建造物の広く開放された特性をうまく生かしているなと感じます。(SKワイバーンズのARでも大画面スクリーンにドラゴンがしがみついているため形状認識はありますが、空間形状の把握がなくても広いスペースでの体験がスタジアムでは実現できます。)
ちなみにSnapのLandmarkerもとても面白いARなので、興味がある方は以下より詳しくご覧ください。
関連記事:未来の広告、スナップチャットのランドマーカー機能について|Snapchat Landmarkers AR
スタジアムとARの相性の良さ②大画面スクリーン
動画を見ると、大画面のスクリーンにAR体験が映し出されている様子が見て取れます。現在、機種やOSなど場合によってはまだモバイルがAR非対応の場合もあります。参加者が皆で楽しめるというのはスタジアムビジネスならずともエンタメにおいては非常に重要な要素です。
参加者にネガティブな体験をさせない設計はARを導入する上で常に課題になるところなので、参加者が全員等しくコンテンツを楽しめる設備がコストをかけずあらかじめ用意されているというスタジアムの特性は、AR体験を提供する上で大きなメリットだと感じました。
開放性とスクリーンという意味では、野球以外のスタジアムスポーツでも新しい顧客体験を創造する上でAR技術がフィットしてくることでしょう。
事例②パナソニック
「パナソニック」が公開したスマートスポーツプロジェクトは、まだまだ実用段階にありませんが、近い未来のスタジアム観戦を示唆しています。このプロジェクト内でARは、スマートグラスに選手の姿やリプレイ映像を映す役割を担っているのです。
最近は、大手企業が続々とスマートグラス開発に力を入れていることを考えると、数年後にはARを駆使したスタジアム観戦が一般化する可能性は十分にあります。
事例③KDDI
2019年に開催されたサッカーキリンチャレンジカップ日本対ボリビア戦で、「KDDI」はAR技術を活用した観戦を実施しました。席に設置されたタブレットでピッチを映すと、さまざまな角度で試合観戦できるようになり、選手のスタッツ情報も表示されるのです。さらにハーフタイムなど試合中以外の時間は、ARで表示されたキックターゲットを打ち抜くゲームが提供されました。
スポーツトレーニングにARが使われた3事例
AR技術を上手く使うことで、スポーツトレーニングが効率化されます。最後に、AR技術を組み合わせたスポーツトレーニング用品を紹介しましょう。
- NIKE
- RideOn
- Ghost Pacer
事例①NIKE
「NIKE」はゴルファー向けのAR搭載グラスの技術を考案しているようです。出願された特許情報によると、ゴルファーがボールを打つと、ボールの軌道や距離、スピードなどが測定され、ユーザーのスマートグラスにデジタル情報として表示されるそうです。
さらに、各ショットに適したクラブの提案も可能とのこと。
まだアイデアの段階ですが、実現化されると、AR技術によってゴルファーはより正確なショットが打てるようになるでしょう。
事例②RideOn
スタートアップ企業「RideOn」が一躍注目されたきっかけは、AR搭載のスキーゴーグルを開発したこと。ゴーグルを装着すると、音楽や地図、カメラ、仲間へのメッセージ送信など豊富なメニューが表示されます。ユーザーは視線を動かすだけで、メニューを選べるので、スキー中でも操作可能です。
「RideOn」は主にウィンタースポーツ向けのARゴーグルを開発していましたが、最近ではトヨタとパートナーシップを結んで、サーキット用ARヘルメットの開発に取り組んでいるようです。AR搭載ウェアラブルデバイスはすでに普及し始めているので、ヘルメットやゴーグルなどの装着が必須のスポーツでは、AR導入が早く進むかもしれません。
事例③Ghost Pacer
「Ghost Pacer」は世界初のランナー用ARグラスです。Ghost Pacerを装着することで、ランナーはARが作り出したバーチャルランナーと共に走れる仕組みです。バーチャルランナーのペースは自由に設定でき、自分の過去最高記録と併走することも可能。防水性と防塵性を兼ね備え、重量はたったの90グラムなのも魅力的です。仲間とのランが難しくなった今、バーチャルランナーと練習するのは良いアイデアかもしれません。
スポーツ業界のInstagramでARを活用した5事例
海外では様々なスポーツチームの公式Instagramにて、マーケティング目的でARがすでに取り入れられています。具体的な活用事例を見ていきましょう。
事例①ダラス・マーベリックス(NBA)
先ほども登場したNBAチームMavericksのARマーケティングの事例です。頭の上にランダムに選手のイラストが表示されるルーレットのような機能があり、ファンとのコミュニケーションに活用されています。選手の顔を知るファンからすると、「xx選手が出た!」というストーリーの投稿が多く溢れたのではないかと想像します。ぜひ一度覗いてみて下さい。
事例②ウォリアーズ(NBA)
ウォリアーズとは、カリフォルニア州サンフランシスコに本拠を置く全米プロバスケットボール協会(NBA)のチームです。こちらもInstagramで楽しめる、所属選手のルーレットが楽しめるフィルターです。選手がイラスト調になっており、ポップな雰囲気のフィルターです。
事例③ボストン・レッドソックス(米プロ野球)
複数回ワールドチャンピオンを経験している伝統あるメジャーリーグベースボールを代表するプロ野球チームのInstagramを活用したARマーケティングの事例です。
which player are you
こちらはインカメラで楽しめるルーレットフィルターです。頭の上に選手のイラストがランダムに表示される定番のフィルターになります。
Winter Weekend
こちらも同じくインカメラで楽しむフィルターです。ベースボールキャップを被りながら、冬の雰囲気を楽しむことができます。
事例④ブンデスリーガ(ドイツ プロサッカーリーグ)
ブンデスリーガはドイツのプロサッカーリーグです。1部、2部それぞれ18クラブ、3部20クラブの合計56クラブが所属しており、観客動員数では世界第1位の人気なプロサッカーリーグとなっています。
Borussia Dortmund
こちらはブンデスリーガの強豪チーム「ドルトムント」のペイントを楽しめるフィルターです。ほっぺたにブランドのロゴが表示され、チームカラーのペイントを楽しむことができます。
その他のフィルター:1部に所属する全てチームのフェイスペイントが楽しめる!
ブンデスリーガのアカウントの特徴は1部に所属する全てチームのフェイスペイントが楽しめるのが特徴です。リーグアカウントの取り組みとしてとても面白い事例です。国内でもリーグ全体を盛り上げる施策として真似をして展開できると理想ですね!
事例⑤レアル・マドリード(スペイン プロサッカーチーム)
国際サッカー連盟(FIFA)世界ランキング上位を誇るスペインの1部リーグに所属する強豪。「銀河系集団」「白い巨人」などの異名を持ち、純白のユニホームで知られている。各国からスター選手をかき集め、ジダン、ロナウド、ベッカムらがプレーしたクラブチームです。Instagramで楽しめるARフィルターをマーケティングに活用しており、レアル・マドリードのフェイスペイントを楽しめるフィルターになっています。
GoogleのAR検索がスポーツ選手の実演に対応
これまでにも動物や昆虫、恐竜などの3Dモデルの表示を提供してきたGoogleのAR検索が、新たにトップアスリートの表示に対応しました。例えばGoogle Chromeで「大阪なおみ」と検索すると、検索結果に「3D表示」のボタンが設置されるようになりました。体験はブラウザでは完結せず、専用アプリに遷移してからの体験となるため、アプリをインストールしていないユーザーはまずアプリストアへ遷移します。
単にARでアスリートを表示して終わりではなく、トップアスリートのプレーをあらゆる角度から見ることが可能です。以下は、大坂なおみ選手のサーブやラリーを表示するARの様子です。サッカーコートやテニスコートで表示をすれば、実際にプレイしている様子を見ている気分になれそうです。同じ競技をしている人であれば、動作の参考にすることもできそうです。
まとめ
スポーツ業界におけるAR活用法を解説しました。ARを導入することで、スポーツ観戦からマーケティング、放送、そしてトレーニングまで変わるのです。すでに多くのチームや企業が導入を検討しています。
本メディア「ARマーケティングラボ」を運営するOnePlanetでは、アプリ不要のWebARを誰でも簡単に制作できる「プラネター」というツールの提供や、ARグラスを活用した高度なAR開発、ソーシャルで話題を集める身近なARを活用したキャンペーン・ブランディングなど様々なARソリューションを提供しています。スポーツ業界でのAR活用を検討していましたら、ぜひお気軽にご相談くださいませ。
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