数年前からAR(拡張現実)は小売業において有用であると言われてきましたが、実用性が感じられるソリューションとしてフィットするまでにはなかなか至りませんでした。
しかし、消費者の外出控えに加えてAppleやGoogleのソフトウェアリリース、5Gの到来など様々な技術の進化により、ARが小売業を変革する日は近づいています。BUSINESS INSIDERの記事では2018年の時点で消費者の75%が小売業者にAR体験の提供を期待していると書かれています。
この記事では、次の時代に向けてARが小売を変革する5つのアプローチをご紹介します。これからデジタル化が加速する小売業において、ARを戦略に組み込む方法を検討する際のお役に立てば幸いです。
3D製品を実際に試してみる
自宅に居ながら新しいスニーカーの購入を検討する場合、従来は顧客がたくさんいるお店で商品の試着をしてから決断をすることが一般的でした。
この問題に対してすでにいくつかのブランドではARを使用して解決策を講じています。たとえば、ラコステのLCSTラコステARアプリを使用すると、実質的に靴を試着できます。リリース以来、30,000人を超えるユーザーがアプリ内の製品を操作しています。
化粧品や香水を扱うSEPHORA(セフォラ)は2017年からModifaceを使用したアプリを開発し、セフォラアプリのユーザーにスマートフォンのカメラを介して化粧品が自分の顔にどのように見えるかを示しています。
2018年の時点で国内BtoCのEコマース比率は全体の6.22%を占めるとされていますが、今後は加速度的にこの数値が拡大していくでしょう。
化粧品や香水を扱うSEPHORA(セフォラ)は2017年からModifaceを使用したアプリを開発し、セフォラアプリのユーザーにスマートフォンのカメラを介して化粧品が自分の顔にどのように見えるかを示しています。
2018年の時点で国内BtoCのEコマース比率は全体の6.22%を占めるとされていますが、今後は加速度的にこの数値が拡大していくでしょう。
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自宅でのショッピング体験を3Dで後押しすることは、これまでの店舗での体験に匹敵する代替手段になり得ます。ARを活用した体験を消費者に提供することは、より大きなユーザー獲得に貢献します。
家庭で3D製品を見る
店舗で商品を確かめる体験は、家の中でその商品がフィットするのかを視覚的に助けることには貢献しません。ARが小売を変革する方法の1つは、購入前に自宅で製品を見る機会を顧客に提供できることです。
例えば、Shopifyではブランドの商品が自宅でどのように見えるか視覚化するAR体験をいち早く提供しています。顧客は自宅で商品を視覚化し、既存の家具と一致するか、部屋にうまく収まるかを判断できるようになっています。
同様に、Home Depot は2015年にProject Colorアプリをリリースしました。これにより、ユーザーは部屋でペイントカラーがどのように見えるかを確認できます。ARテクノロジーは部屋の照明、オブジェクト、影を考慮しているため、実際の塗装色がどのように見えるかをリアルに表現できます。
マンゴリアマーケットとホームデポのARアプリの両方で、ユーザーはテキストまたはソーシャルメディアで画像を送信して、購入前に友人の意見を得ることができます。
多くのホームセンターの小売店がARアプリを提供しているので、ARアプリがないと競争することが難しくなります。購入する前に自宅であるブランドのソファを見るか、それがどのように見えるかを知らずに別のブランドから購入するオプションがあった場合、どちらを選びますか?
店舗情報を収集する
現在、買い物客の60%近くが、店舗で携帯電話を使用しながら製品情報と価格を調べています。拡張現実は、それらの買い物客のニーズを満たすための重要なソリューションを提供する可能性があります。
買い物客が販売員に尋ねることができない特定の製品情報があります
-「他の顧客はこの製品をどう思いますか?」のような質問。
ARはこのギャップを埋めることができます。たとえば、アメリカンアパレルは、顧客が店内の看板をスキャンして、顧客のレビュー、色のオプション、価格などの製品情報を取得できるようにするARアプリを作成しました。
さらに、アプリのユーザーは、アメリカンアパレル製品を身に着けているモデルのビデオを見たり、友人がそれを望んでいると思った場合に製品を友人に送信したりできます。
ユーザーはARアプリがなくてもオンラインでこの情報を見つけられる可能性がありますが、拡張現実はオフラインショッピングとオンラインショッピングのギャップを埋め、よりまとまりのあるエクスペリエンスを生み出します。顧客がより簡単に必要なものを見つけられるようにするには、店舗でARを使用することを検討してください。
仮想試着室を使用する
店舗での購入を前提にした事業者はビジネスがどんどん厳しくなる中で、ECサイトでの購入ハードルを下げるために「返品」をユーザーへの利点として掲げる事業者は多いです。
中国のレディースアパレルブランド 「LILY」では、以下のようなバーチャル試着室を提供しています。カメラの前に立つことで、何も試着することなく衣服の様子を体で見ることができます。
これからの時代、人混みを避けた場所にこのようなディスプレイを設置する方法もユーザーにとってはメリットになるかもしれません。
イスラエル発のZeekitという企業がアパレル/ファッションブランド向けに自分そっくりの「アバター」を用いた試着アプリを提供し、オンライン購入前のユーザーの不安払拭にアプローチしています。
オンライン上でファッションアイテムを選ぶ際のサイズ確認や似合うかどうかの不安などを解決すると言われており、Tommy Hilfigerやadidasといった有名企業との協業も行なっています。
ブランド認知度を高める
ARを活用したストア体験の拡張の事例として、中国発のストリート・ファッションブランドの「HIPANDA(ハイパンダ)」の事例があります。
HIPANDAは欧米を中心に若者たちからセレブまで浸透しているブランドで、2019年4月には表参道に旗艦店がオープン。同店内にはARを用いた様々な仕掛けがあり、実店舗がエンタメ施設化した先行事例となりました。
アパレルブランド「HIPANDA」の店舗のエンタメ化 事例
エントランスのロゴが3D化して花びらと共に飛び出す演出からすでに「ストアの体験を拡張する」というレベルを越えて「エンターテイメント施設」と呼ぶレベルに到達しています。
ECサイトが充実し、ARでアイテムの試着ができる社会に順応し「単に商品を買うだけならECサイトで十分、わざわざ実店舗に出向くなら体験を楽しみたい 」と考える若者たちに支持されています。
HIPANDAはこのような取り組みから注目を集めて先進的なブランドであることを証明し、ARを活用してブランド認知度を高めることに成功しました。
まとめ
今回ご紹介したように、ARはマーケティングにおいて非常に有用な武器となります。
その一方でARのような新たな技術が登場すると、それを利用すること自体が目的となってしまい、「期待して投資してみたけど、イマイチ成功しなかった」という失敗体験となってしまったプロジェクトもあるのではないでしょうか。
導入することによってどのような効果をもたらしたいのか?どうすれば効果的に利用できるのか?ということを事前に検証し、自社に一番効果的な方法でARを導入することが重要になります。
弊社ではARの開発やARのプロモーションを提案・提供していますので、
AR開発や導入に興味のある方は、株式会社OnePlanetへお気軽にお問合せください。