
自社のブランディングやプロモーションにARゲームを取り入れる手法をご存知ですか?
ゲーミフィケーションの効果は様々な場面で証明されており、特にその考え方は新しいものではありませんが、ARを使ったゲームを通じてブランドのマーケティング・プロモーションを行う事例はまだまだスタートしたばかりで、これから中心になる手法と言えるでしょう。
海外では国内よりも先行して、密かなARを使ったミニゲームのブームが来ており、一定の有効性を示しています。
ARをうまく使うことで、より面白くインパクトのあるブランディングやプロモーションが実現できるため、ARにゲーム性を持たせたコンテンツについては企業のマーケティング担当者はぜひチェックしておきたいところです。
そこで今回は、
- ARゲームとはどんなものか?
- ARゲームを使ったマーケティング・プロモーション事例
についてご紹介します。
実際にARゲームを体験できるQRコードもつけているので、体験しながら事例に触れてもらえるようになっています。
ARゲームでプロモーションを検討している方のヒントになれば幸いです。
ARゲームとはどんなもの?
まず、ARとは何なのかをおさらいしましょう。
ARとは、現実世界には存在しないキャラクターなどを、スマートフォンやタブレットなどのデバイスを通してデジタルで見せる技術です。
「拡張現実」とも呼ばれています。
このARを使ったゲームとはどのような特徴があるのか、実例と共にご紹介します。
現実世界とデジタルの融合を楽しむゲーム
AR機能付きのゲームは、ただキャラクターが飛び出してくるだけではありません。
自分自身でデバイスを操作し、なにかしらの遊び要素を持たせているのが特徴です。
つまり、現実世界とデジタルの融合を楽しめるのが、ARゲームの醍醐味というわけです。
なおARにはさまざまな種類がありますが、よく使われるARタイプには次のものがあります。
- 画像認識AR
トリガーとなっている画像をスマートフォンやタブレットのカメラでかざすとコンテンツが現れるタイプのARです。
スタンプラリーのようなゲームなどでよく使われます。
カメラ機能の向上で認識精度も向上していますが、画像を映せない環境(明るさや傾きなど)だとARを楽しみづらいのがデメリットです。
- ロケーションベース型AR
デバイスのGPSで位置情報を取得し、プレイヤーが特定の位置にきた場合にコンテンツが現れるタイプのARです。
プレイヤーのデバイスのGPSの精度によってコンテンツの出方にバラツキがあるものの、画像認識ARのようにトリガーを必要としません。
有名なARゲームにはどんなものがある?
それでは、ARゲームにはどのよなものがあるのか、実例と共に見ていきましょう。
まずはARゲームの中でも人気の高い、エンタメ性の強いARゲームをご紹介します。
PokemonGO
もっとも有名なARゲームの1つに、PokemonGOが挙げられます。
GPSによる位置情報をもとに、現実世界のマップをARで現れるポケモンをゲットしたり、特定のスポットでバトルを楽しんだりできるアプリです。
2015年にリリースされたゲームですが、日々進化するAR技術に合わせてさまざまな機能が追加されており、2020年現在でも世界中で大人気です。
ハリーポッター:魔法同名
こちらは、魔法の世界を舞台にしたファンタジー「ハリーポッター」をテーマにしたARゲームです。
PokemonGoと同じく、GPSによる位置情報を利用したARで、魔法世界の建物や生き物との遭遇など、作中の世界観を楽しめるゲームに仕上がっています。
「ロイと魔法の森」
現実世界にファンタジーな世界観を再現するアドベンチャーARです。
現実世界の2.5m四方空間の中に、カメラを通してアイテムやキャラクターなど実在するかのように配置されるため、現実とデジタルの融合をよりリアルに感じられます。
プレイヤーの行動や選択によって物語も変化するため、ゲーム好きにはたまらない内容になっています。
ARゲーム×マーケティング・プロモーションの事例4選(専用アプリAR・WebAR)
ブランディングやプロモーションの手段としてARゲームを検討するにあたり、「壮大なゲームストーリーや大規模なアプリ開発が必要なのでは?」と不安に感じる方も多いでしょう。
確かに先にご紹介したPokemoGoなどの純粋なエンタメARゲームは、機能も多彩で、物語もよく作りこまれています。
しかしブランディングやプロモーションにおけるARゲームを企画する際、それほど難しく考えすぎる必要はありません。
「企業やブランドの世界観を体感できる・楽しめるAR」であればいいのです。
たとえば自社の商品やキャラクターをARで登場させるだけで、立派なオリジナルコンテンツになります。
さらにちょっとしたミニゲームやスタンプラリー機能などを持たることで、ARゲームのアイディアはどんどん出てくるでしょう。
商品のプロモーションや町おこしにARゲームを使った事例を6つ、ピックアップしてご紹介します。
ARゲームを使ったプロモーションやマーケティングを企画する際の参考にしてください。
- 森永製菓「キョロちゃんの遊べるARアプリ」
- 江崎グリコ「ポッキー&プリッツ そとポ!そとプリ!」
- モンテール「しあわせみくじ」
- 相模鉄道「ARスタンプラリー」
①森永「キョロちゃんの遊べるARアプリ」
専用アプリをダウンロードし、チョコボールのパッケージをデバイスのカメラでかざすと、キョロちゃんが出現!
ちょっとしたミニゲームが始まります。シンプルですが、「チョコボールを食べるついでにちょっと休憩…」というときに楽しめる手軽さがいいですね。
詳細はこちらから。
②江崎グリコ「ポッキー&プリッツ そとポ!そとプリ!」
専用アプリをダウンロードし、地図を頼りにスヌーピーのキャラクター達を探しに行くARゲームです。
ポッキーやプリッツはターゲットとなる年齢層が広いお菓子と言われていますが、このARは小さい子供のいるファミリー層をターゲットにしているのでしょうか。
散歩のついでに、子供と一緒に宝探し感覚で楽しめるARゲームですね。
③モンテール「しあわせみくじ」
モンテールのどら焼きを買ったら、ARおみくじが付いてた✨ pic.twitter.com/T85qw3S6mJ
— 托馬 (@wyoyoyw) December 31, 2019
商品のパッケージを専用アプリでかざすと、ARおみくじが引けるというシンプルなもの。
ちょっとしたお楽しみコンテンツとして簡単に導入できます。おみくじ結果はTwitterに投稿もできるので、拡散効果も期待できそうです。
④相模鉄道「ARスタンプラリー」
こちらは神奈川県の大手鉄道会社、相模鉄道が2022年3月に実施したARスタンプラリーのイベント「春のそうにゃんスタンプラリー」の事例です。
横浜駅など、相鉄線の沿線にある3つの商業施設の中にARコンテンツが仕込まれており、各施設に設置されたARをそれぞれ体験して巡りスタンプラリーをクリアすると特典がもらえるというエンターテインメントになっています。
ARがこれまで抱えていた最大の課題は、「ARをやろうと思ったけど、アプリをインストールするなら面倒だから体験しなくていいや。」というアプリインストールのハードルによるユーザーの離脱です。
しかし、せっかく面白いARコンテンツを作るのであれば、どうせならより多くの方に使ってもらいたいですよね。
そこで近年は「WebAR」という技術を導入するケースが増えてきています。
こちら相模鉄道の「ARスタンプラリー」は、「ロケーショナー(LocationAR)」というWebARの制作ツールを活用して制作されており、専用アプリのインストール不要なAR体験です。ユーザーはQRコードをスキャンするだけでAR体験ができるため、多くの人に参加してもらうことが可能です。
さらにこの事例で特筆すべきは、プログラミングをせずに「ARスタンプラリー」の制作までできるツールになっているため、コストを抑えて自社オリジナルのイベント開催を実現できていることです。
このようなSNS投稿が生まれてくるのも「WebAR」を活用した手軽に楽しめるイベントならではと言えるでしょう。
そうにゃんARスタンプ超楽しい(●´⁰౪⁰`●) pic.twitter.com/TjOxjZdF17
— 新々キョダモさん(●⁰౪⁰●) (@1919tissue) March 15, 2022
このようなARを活用した「ARミニゲーム」を制作会社に頼らずに開発できるのはこれから普及しそうな新しい取り組みと言えそうです。
相模鉄道 公式サイト:動く「そうにゃん」を体験できる「春のそうにゃんARスタンプラリー」を開催
ARゲーム×マーケティング・プロモーションの事例5選(Instagram)
こちらでは、InstagramのAR機能を使って開発されたARゲームの事例を紹介します。
世界ではさまざまなブランドがARゲームでプロモーションを行なっています。
やはり楽しくブランドの魅力を広げていけるのは従来の広告商品との違いが明確ですよね。
ARゲームフィルターは開発が必要になるためより単純なARフィルターよりも数は少ないですが、活用方法次第ではユーザーに楽しんでもらいやすい傾向が見て取れるため、ブランドマネージャーや企業のマーケティング担当者にとっては注目すべきARとも言えます。
この記事では、私たちがこれまでに出会ったInstagram上でリリースされているゲームベースのARフィルターをまとめてご紹介していきます。多数のARゲームフィルターの中でもユニークなものをピックアップしていきます。
- No Spoilers|NETFLIX
- GAME|Spark Studio
- FRUIT FRENZY|Jerzy Pilch
- TIC-TAC-TOE
- Skate Nerm Game|RIPNDIP
①No Spoilers|NETFLIX
NetFlixは、世界に先駆けてARゲームでプロモーションを行なっている会社です。
「No Spoilers」というARフィルターが、ゲームのARフィルターとなっております。Spoilerは “ネタバレ” の意味です。
映画を愛する人にとって、ネタバレはなんとしても避けたいですよね。
プレイヤーの心理と操作がうまくリンクした、ユニークなプロモーションです。
こちらは顔認証のARです。
唇を開け閉めすることで表示されるアイテムの上下をコントロールできるような仕様になっており、自分のキャラクターが死なずになるべく多く点を稼げるようにしたい心理が働くものです。
こちらも広く世界中で使われています。
(ARを体験する ▶︎ No Spoiler)
②GAME|Spark Studio
まばたきをすると障害物をジャンプして超えられるという、顔認証機能を活用したシンプルなARゲームです。
クリアしていくほどに点数が溜まっていくモデルはゲーミフィケーションの王道ですが、こちらはリリース後、しばらく時間が経過した現在でも利用する人が一定数います。
タップするとゲームがスタートし、顔認証機能を利用して「瞬き」をすることで障害物をクリアしていきます。
(ARを体験する ▶︎ GAME)
③FRUIT FRENZY|Jerzy Pilch
このARゲームフィルターは、上から降ってくるフルーツを自分の口で咥えているバスケットでキャッチするというものです。キャッチというよりも通過をさせるとポイントが加算されていく仕組みになっています。
頭の左右にポイントを表示させているオブジェクトや降ってくるフルーツのアイテムなど、このゲームで登場するオブジェクトは古き良き時代のレトロなゲームの雰囲気を提供してくれています。
実物と見紛うほどのハイクオリティなゲームが世に増えている中で、敢えて「ポリゴン丸出し」なゲームは逆にクールかもしれません。
(ARを体験する ▶︎ FRUIT FRENZY)
④TIC-TAC-TOE
このARゲームフィルターは、私たちの多くが人生の中で何度もプレイしたことがある、伝統的な「マルバツゲーム」がベースになっています。
まず最初のSTEPとして、自分の顔を上下左右に振ることでマスのどの部分にマルバツを表示させるかを操作する仕様になっています。
次に、口の認証機能を使って口を開くと「マル」が自分の選択したマスへと表示されるようになっています。
すると、相手のプレイヤーは自動で「バツ」をつけてくれます。
シンプルな表情認証だけでなく複数のフェイストラッキングの機能を組み合わせて開発されたマルバツゲームは珍しく、新しいユーザー体験を提供しています。ぜひ楽しんでみてください。
(ARを体験する ▶︎ TIC TAC TOE)
⑤Skate Nerm Game|RIPNDIP
LA発のストリートブランドRIPNDIP(リップアンドディップ)の事例です。
RIPNDIPとは「スケートスポットで技をMakeしてすぐにその場を去る。」というスケートボーダーに使われる用語であり、RIPNDIPはスケートカルチャーと共に成長してきたブランドです。格好良いですね。
こちらのARゲームフィルターはタップすると障害物(うんこ)をジャンプして超えていくゲームになっています。
ブランドを代表する人気のネコのキャラクターが、OLLIE(オーリー = スケートボードと一緒にジャンプするスケボーで最も代表的な技)を繰り出しながらゲームを進めていく演出は、スケートボード愛好家をファンに抱えるブランドの世界観を演出する粋なARです。
このARゲームフィルターは、ブランドがファンを喜ばせる=エンゲージ率を高めるための適切なコミュニケーションの一つと呼べるでしょう。
なんとも言えない表情をしているネコのキャラクターは、ブランドを知らない方もどこかで見たことあるという方もいるのではないでしょうか。日本では原宿にSTOREをオープンしています。
(ARを体験する ▶︎ Skate Nerm Game)
まとめ
ARゲームの特徴と、プロモーションに用いられた事例をご紹介しました。
ブランドや商品の世界観に合ったARゲームを展開することで、よりインパクトがあって面白いプロモーションを実現できます。
最近では専用アプリをダウンロードしなくても、InstagramのARフィルターを使って楽しめるゲームも増えています。
ARゲームを使ったプロモーションにご興味のある方は、ぜひ一度ご相談ください。