医療AR

近年、ARの技術は建築/建設・美容/ファッション・ITなどさまざまな分野で活用されており、その活躍は一層目覚ましいものになりました。さまざまなシーンで実用化が進んでいるARの技術ですが、人の命に深く関わる医療の分野でも大きく活用されています。

しかし、具体的にどのようにARが医療と結びついているのかよくわからない方が多いはず。そこでこの記事では、医療分野においてARの技術が活用されている7つの事例について具体的に解説します。

ARとは

ARを体験する人

ARは「Augmeted Reality」の略称で、日本語に訳すと「拡張現実」という意味です。現実の世界に仮想の情報を加えて映し出したもので、最近ではInstagramやSnowなどの多くのアプリで利用され、10代を中心に人気を博しています。2Dの画像だけではなく、3D画像やテキスト情報なども現実世界に同時に表示してくれるため、現実世界の風景を映す際に便利です。

同様にトレンド技術でもある「VR」(仮想現実)との違いは、ARがあくまで現実の世界に加えて新しい情報を追加しているのに対して、VRは完全に仮想空間を作り上げる技術であるということです。現実に対する扱いがまったくをもって異なるため、似ているようで、実は全く異なる技術であるということを覚えておきましょう。

近年注目の技術「MR」も重要なトレンド

プログラミング

MRとはMixed Reality(複合現実)の略称で、ARがさらに発展して生まれた技術です。ARとVRを組み合わせたような技術で、現実世界とかそう世界の座標空間を精密に重ね合わせて、現実空間に仮想世界を同時体験できます。ARでは指定した位置に合わせて情報を表示する仕組みとなっているため、現実の位置関係は計算されていません。

しかし、MRは現実の位置関係を計算して立体的に表示するため、より一体化して感じることができます。マイクロソフトが開発した「HoloLens」などのヘッドマウントディスプレイや、カメラ付きのVRヘッドセットなどを装着して実現していきます。今後は医療分野でも、ARとVRを組み合わせたようなMRに進化させていくような仕組みが増えていくことが予想されており、目が離せません。

医療分野におけるARの主な活用シーン

病院のベッド

ARは現実の映像に情報を付け加えるという面で、非常に優秀な技術です。医療分野では、ARのおかげでこれまでできなかったことが、出来るようになってきています。ここでは医療分野において、ARは主にどのように活用されているのかについて解説します。

患者の診察

診察時には、医師のイメージできていることが患者に伝える際に上手く伝わらないようなことがよく起こります。例えば、肉体の一部を損傷してしまい、その部分を補修する手術をする場合を考えてみましょう(形成外科・美容外科・歯科など)。

医師は完成形がイメージできても、患者に完成後のイメージが伝わりにくいため、治療後の出来にミスマッチが生じてしまうことがあります。ARの技術を利用すれば患部を撮影し、その上からARアニメーションで治療後のイメージを重ねることで、よりわかりやすくイメージすることができるのです。診察時には伝わりにくいポイントをわかりやすく解説する上で、ARは非常に重要な技術となっています。

手術

手術を行う際には、危険がつきものですよね。誤って治療する箇所ではない部分を損傷させてしまうと、大きな医療ミス問題につながりかねません。

そこで、ARの技術は手術を行う際に手術すべき臓器部分だけの色を変えたり、より見やすくするために3Dポリゴン画像化したりする必要があります。2次元ではわかりにくかった臓器の位置も複数の医師で情報共有しやすくなるため、ARの活用は非常に重要なのです。

学習時の利用

医療系の大学などで、人体について理解する際の教材としてもARは使われ始めています。骨や筋肉などの通常は視認できない映像を、実際の人間の表面に重ねて表示することで、具体的に身体をイメージできるようになります。ARと医療は非常に相性が良いので、教育の現場でも積極的に利用され始めています。

ARの技術が医療分野で活用されている事例7選

では、医療の分野においてARの技術が活用されている導入事例を7種類紹介していきましょう。

Holo Eyes AR

医療用iOS向けARアプリ『Holo Eyes AR』では、人体の様子をiPadを利用して映し出すことが可能です。

現実空間に映し出されている人体の臓器は、iOSのAR機能「ARKit」を利用して空間に固定されているため、iPadを持って近づけば、細部まで確認できます。

『Holo Eyes AR』のすごいところは、人体模型では再現できない細部まで表示することができる点です。患部の症状を確認する際に、患者と医師の意思疎通がより円滑になるため、両者のイメージ解像度が一気に上がります。

また、3Dデータとして映し出されるため、CTスキャンしたデータを利用して、体内のデータを閲覧することも可能です。日本のVRスタートアップが開発したアプリケーションであるため、これからの活躍がますます期待されます。

Kapanu

スイスに拠点を置く『Kapanu』は、デジタルな力で歯科技術をイノベーションするための技術を開発しています。歯科治療向けのソフトウェアは、治療前の患者の口腔内をスキャンすることで、その映像データに治療後装着する予定の3Dモデルの歯をARで表示しています。

このソフトウェアを利用すると、患者は治療後の歯がどうなるのかを正確に判断することができるため、治療前に確認しながら意思決定できます。一般的な歯科治療では、患者の口の形に沿った歯のレプリカを制作しますが、治療後の状態を確認するのは難しいことでした。ARを利用することで、レプリカを制作する時間やコストをかけずに、完成後のイメージをつくることができます。

GLOW800

GLOW800

ARを使った蛍光システムとICGをつかって、立体感のある血管を映し出すことができます。さまざまな分野の手術に使うことができますが、特に脳血管手術に関しては、難易度が高く、医療ミスの可能性も高くなってしまっている現実があります。

GLOW800であれば、

  • 血流がどのようになっているのか
  • 血管の順行性の送血が行われているか
  • よじれや部分的な閉塞などの障害が起きていないか

などが確認できるため、手術におけるベネフィットが非常に多いのが魅力です。

ヒューマン・アナトミー・アトラス2021

ヒューマン・アナトミー・アトラス2021

Visible Bodyが運営している『ヒューマン・アナトミー・アトラス2021』では、ARの技術を使って人体の詳細データを確認できます。性別ごとに3D解剖モデルを空間に映し出すことによって、身体を細部にわたるまで知ることが可能です。

App Storeにアップされており人体模型をいつでもスマホやタブレットで確認できるため、医療系の学習や研修で使われています。人間の身体がどのようになっているのか知りたい方は、一度覗いてみてはいかがでしょうか?

Project DR

カナダにあるアルバータ大学にある研究チームでは、骨や臓器など体内の映像をAR技術で表面に重ねて表示することができます。CTなどで取得した患者の体内の映像を本人の身体に投影することで、内部の様子がよりわかりやすく表示されます。外科医の教育をする際や、手術計画を共有するのに役立つでしょう。

Brain Slicer

プロジェクターを使ってARで脳をスライスして表示できる『Brain Slicer』は、脳外科の分野で重宝されているアプリケーションです。スクリーンを動かすだけで簡単にスキャンデータを見ることができるため、マウスでの操作より簡単であるため非常におすすめです。医者向けの利用など、さまざまな活用が期待できそうです。

Augmedix

『Augmedix』はGoogle Glassを用いた診療サポートサービスで、患者と診察医、臨床医をつなぐことで、より効率的に診察を行うことができるサービスです。Google Glassを使うことによって、ARで診察している医師が見ている映像をそのまま臨床医に届けることができるため、リモートでも診察が可能です。

臨床医の診察による時間的なコストを減らすことで、より本質的な症状の分析などに時間を使うことができるようになります。また、遠隔での指示を出すこともできるため、診察するのが医師でなくても良いという点が大きなメリットでしょう。遠隔医療をARで支えるサービスとして注目されています。

まとめ

ARの技術が医療現場で使われている事例について具体的に解説しました。医療現場でARが導入されることによって、問題視されている次のような面での問題を改善が期待されています。

  • 医師の長時間労働問題
  • 医療ミス問題
  • 医師不足問題(教育)

今後はより導入が進んでいくことが予想されているため、ますますの技術発展に目が離せません。

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