ARを小売業界で活用するためには?実際の活用事例を7つを紹介

AR技術は発展を続けており、身近な場所やさまざまな場面で使われるようになりました。そのため、AR技術を取り入れてマーケティングに活かしたいという企業も多いのではないでしょうか。この記事では、特に小売業界に焦点を当てて、マーケティングにおける、ARの活用について解説します。自社のマーケティングに、ぜひ役立ててください。

ARとは

ARとは「Augmented Reality」の頭文字をとった言葉で、日本語では「拡張現実」という意味です。ここでは、ARの特徴やVRとの違いなどについて詳しく解説します。

ARの特徴

ARは実際の風景にデジタル画像や映像などを重ねあわせる技術で、現実世界の中にいるようにみせられるのが特徴です。実際にみているものよりも情報量が増やせるため、伝えたい情報が、さらに届けやすくなります。

VRとの違い

ARと似た言葉としてVRというものがあります。VRとはVirtual Realityの略であり、VRゴーグルを装着した向こう側の世界が100%バーチャルな世界になる体験を指し、まるで自分がデジタル世界に入り込んだような感覚になります。VRも3Dなどのデジタル表現を駆使したものですが、現実世界にバーチャルな視覚情報を重ね合わせるARとは異なる体験といえるでしょう。

ARの市場規模は拡大傾向にある

AR元年とも呼ばれている2016年から2020年にかけて、AR市場規模は急速に拡大し、さまざまな分野で活用されるようになりました。例えば、エンターテイメント業界や教育分野、職業訓練など、幅広い用途で活用されています。

日本においても、ICTは一定の割合で拡大を続けており、VR市場についても同様です。しかし、VRの場合は専用機器の購入など、ユーザー側の導入ハードルが高いという課題があり、ARほどの急拡大には至っていません。

ARはスマートフォンなどを活用して気軽に体感できるのが特徴で、ARを広告などのマーケティング、ゲームやイベントなどのエンターテインメントなどで活用されています。そのほか、小売業界や医療、教育関係にもAR技術は活用され、なくてはならない存在になりつつあります。

ARとマーケティングの相性がいい理由とは

ARとマーケティングは、相性のよい組み合わせです。なぜARとマーケティングは相性がよいといわれているのかを詳しく解説します。

ユーザーも楽しめる

ARの大きな特徴が、ユーザーが楽しみながら情報を得られることです。ARを取り入れた広告は、企業側が伝えたい情報を届けるだけではなく、ユーザーが能動的に楽しめます。結果として、ユーザーの記憶に残るうえに、企業に対し好印象を持つようになるというメリットがあります。

情報が拡散されやすい

先述のとおり、ARはユーザーに楽しい経験を与えながら、情報が届けられます。楽しかった、興味深い体験だったという印象が残れば、ユーザーがその経験を誰かに伝えたくなります。SNSなどのユーザー数が多いプラットフォームで紹介されると、さらに拡散されて多くの人にリーチできるでしょう。

ARを小売業界で活用するメリット

小売業界でもAR活用が進んでいます。ここでは、ARを小売業界で活用するメリットについて解説します。

購入体験を特別なものにする

ユーザーの購入時にARを活用すると、いつもの買い物に「特別な体験」という付加価値をプラスできます。リピーターを獲得するには、商品購入時などの心理的・感情的価値を意味する「カスタマーエクスペリエンス」が重要といわれています。ARではカスタマーエクスペリエンスを実現できるため、小売業界で活用するメリットは大きいでしょう。

より細やかな商品解説ができる

スタッフが顧客一人ひとりに、商品について詳しい情報を伝える作業は、手間も時間もかかります。ARを活用すると、文字だけではなく、画像や映像を使いながら、商品の詳しい情報を伝えられるでしょう。ユーザーが楽しみながら商品情報を得られるのに加えて、人手不足でじゅうぶんな接客ができないという状況が改善できます。

活用事例1:かざすだけで商品の詳細情報がわかる

ARは、商品の詳しい情報をユーザーに効率よく届けられる手段です。ARの活用により、スマートフォンを商品にかざすだけで、商品情報や使い方、製造国や生産地など、多くの情報を伝えられます。

商品についての情報が少ないとユーザーは不安を感じ、購入に至らない可能性があります。ARを活用すると視覚的に情報を確認できるため、ユーザーは安心して購入できるでしょう。

活用事例2:バーチャル試着サービス

バーチャル試着とは、画面に映ったユーザーの体に、商品を重ね合わせて試着させるものです。服だけではなく、アクセサリーや靴、バッグなどにも活用できます。そのため、トータルコーディネートがしやすく、ユーザーにとっても利便性が高いサービスです。

ユーザーは、実際に商品を身に着ける必要はなく、気軽に商品を試すことができます。企業側にとっても、試着による破損や汚れのリスクがなくなるのは、大きなメリットといえるでしょう。

株式会社ニトリの生活雑貨ブランド「デコホーム」

株式会社ニトリの生活雑貨ブランド「デコホーム」では、コロナ禍のおウチ需要に対する商品として、自宅でもエプロンの試着ができるARフィルターを開発・提供しました。

大きな特徴は、オンライン上で試着ができる点です。InstagramのAR開発プラットフォーム「Spark AR」の活用によって、Instagram内から気軽に試着ができるようになりました。

Instagramを起動して、デコホームの公式アカウントからARを選択し、試着する人を写すと、4種類のエプロンを試着できます。新たにアプリをインストールする必要もなく、簡単に操作が行えます。

デジタルファッションブランド「XXXXTH」のメタバース対応

NFTでデジタルファッションアイテムを提供するファッションブランド「XXXXTH(フォックス)」は物理的なアイテムはなくデジタルだけでアイテムを展開するメタバース時代の未来的なブランドです。

同社はスマホやPCの画面内でしか見ることができなかったNFTスニーカーやタトゥー、ネックレスなどの商品をAR技術によって現実世界でも装着できるようにしました。

デジタルだけで提供されるアイテムのAR化や、物理的なアイテムの3D化およびNFT対応までフォローする、「AR for Metaverse」という株式会社OnePlanetが提供するサービスを活用した最先端の事例となっております。

活用事例3:バーチャルメイク

バーチャルメイクとは、スマートフォンやパソコンなどに写した顔に映像を重ね合わせて、メイクしたようにみせる技術です。オンラインショッピングでは、ファンデーションやリップ、アイシャドウなどの色味を確認するために、実際に肌にのせてみることができません。バーチャルメイクは色味の確認の際に参考になり、購入につながりやすくなるでしょう。

また、バーチャルメイクは、遠隔地からのメイクレッスンにも活用されています。現地に行けない場合でも、簡単にメイクレッスンが受けられて、顧客満足度の向上にもつながるでしょう。美容院では、ARで髪色チェックしてからヘアカラーを選択するいった活用方法もあります。

パーフェクト社のメタバース

バーチャルメイクのARで最先端の事例といえば、2022年1月6日、バーチャルメイクの世界最大手であるパーフェクト社が公開した「メタバース」の事例でしょう。

同社は公式ウェブサイト上のメタバースを通じて最新のAIとARを搭載したソリューション技術各種の紹介と体験ができる空間「3Dバーチャルブース」を公開しました。

実際にメタバースの中に入ると、同社のCEOのご挨拶ムービーが自動で再生されるようになっており、そのまま3Dで制作された空間の中をぐるぐると回遊できるようになっています。

まさにリアルの小売店の商品棚と同じように、空間の中に設けられた各ブースには個別の体験へと遷移するURLが設置されています。

様々な未来的な体験ができるメタバース空間になっており、以下のようなコンテンツを体験することができるようになっています。

PERFECT社のメタバース
  • ARメタバースとビューティ&ファッションNFT – メタバース世界のデジタル商品を全てのカメラ対応デバイス上で体験可能にすることで、バーチャルアセットへのアクセスを容易にし、更にビューティ&ファッションNFTを作成することで、メタバースですべてが完結するVcommerceを実現します。
  • ビューティテック- メイクアップ、ヘアカラー、ネイルなどのバーチャル試着体験や、AI肌診断機能、メイクのハウツーをステップバイステップでAR体験できる機能「YouCam Tutorial」を体験できます。
  • ファッションテック – 数々の受賞歴を持つパーフェクト社の技術を使ったアイウェア、イヤリング、アクセサリー、時計、ブレスレット、指輪のバーチャル試着体験で、没入感のあるショッピング体験を提供します。

こちらの最先端の事例についてより深掘りしたい方は、以下の記事がおすすめです。

小売業界におけるメタバース活用|国内外の最新事例と共に解説【2022最新版】

活用事例4:店舗でのイベント

店舗でのイベントやキャンペーンなどに、ARを活用するケースもあります。ARの活用によって、集客効果や認知度向上などの効果が期待できます。

例えば、ARを用いて店内スタンプラリーを行うと、店舗を回遊する時間が長くなります。集客効果だけではなく、売上アップも期待できるでしょう。また、特定の店舗を訪れると、ARで映し出されたキャラクターとの記念撮影が行える、特別なフレームで写真が撮れるなどのイベントもあります。

スマートフォンを活用したARによる体験の提供だけでなく、最近ではARグラスを活用したイベントなども利用が広がる兆しが見えてきています。

ARグラスを活用した「Giant Pizza Tower」

こちらの事例はMRグラス「Magic Leap 1」を活用したゲーム「Giant Pizza Tower」です。このゲームは、天井から降ってくるピザをキャッチするもので、その場の環境を活かせるゲームです。

ARグラスは、飲食店や店舗などのイベントでの使用を想定して作られています。ARグラスを着用するだけで、簡単に現実とバーチャルをリンクさせられるため、どこでも利用しやすいのが特徴です。ユーザーに対して楽しさや感動体験などを提供できて、リピーターの獲得も期待できるでしょう。

ARグラスを活用した「ML Music Live」

同じく、こちらもMRグラス「Magic Leap 1」を活用した空間音響アプリケーション「ML Music Live」です。

MRグラスのコンピューターが利用者のいる空間を個別に認識してメッシュデータにし、音に合わせて空間が変化するというこちらのアプリも、従来のDJやVJとはまた違い、イベント会場などでこれまでと違った全く新しいユーザー体験を提供できるでしょう。

活用事例5:家具やインテリアを試しに配置する

家具を購入する際には、自宅に設置できるか、既存のインテリアとの調和がとれるかといった点が気になるでしょう。しかし、家具の購入には、搬入などに手間がかかるため、試し置きはできません。

ARを活用すると、家具やインテリアを、自宅に試し置きできるようになります。ARを用いて、部屋にバーチャルで家具を重ね合わせれば、サイズ感やバランスなどの確認が簡単にできます。ユーザーが安心して購入できるため、返品などのリスクも軽減できます。

活用事例6:ARによる道案内

ARの活用により、店舗までの道案内もわかりやすくなります。住宅地のなかにあるお店などは、方向がわからず道に迷うケースも少なくありません。ユーザーが店舗にたどり着けないと、販売機会を逃してしまいます。

ARなら、どこに向かえばよいのかを映像で案内できるため、店舗にたどり着けないという事態を防げます。また、店内のどこに何があるのか、目的の商品への案内なども映像で行えるため、スタッフの負担軽減にもつながります。

活用事例7:在庫確認

小売業界では在庫確認は欠かせない業務です。しかし、人の手で在庫確認するには時間も手間もかかるため、スタッフの負担が増加します。商品を探し出すまで時間がかかるケースもあり、大きな負担になっています。

ARを活用すると、スマートフォンやタブレットなどの端末を商品棚にかざすだけで、在庫数や在庫場所の表示が可能になります。簡単に在庫状況の確認ができるため、人手不足に悩んでいる店舗などにも効果的です。

まとめ

ARは、現実世界にバーチャルをリンクさせるもので、小売業界での活用も拡大しています。ARの活用により、集客や売り上げ増加、顧客満足度の向上やスタッフの負担軽減などが期待できるため、積極的に活用するとよいでしょう。

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