娯楽施設やイベントなど国内外のお出かけ産業のAR活用事例8選|フェス、博物館、美術館、アートイベント、ファッションショーなど

コロナで外出がしにくい現在でも、外出やおでかけをしたいというにと他人のニーズは常に存在しています。

アフターコロナにはそのニーズの反動から多くの人がおでかけをするようになることも予想され、アフターコロナに向けたデジタル化としておでかけ産業やイベント事業者はARを活用した新たな体験創造がとても重要になっています。

この記事には特に、国内外でのおでかけ産業、イベント事業者のAR活用事例をピックアップしてまとめていきます。

そもそもARとは

ゴーグルをはめるVRの方がイメージが湧きやすいと思うのですが、VRは「Virtual Reality」の略で、VRのゴーグルがスマホに置き換わった版がARと考えるとわかりやすいかもしれません。ARとは「Augmented Reality」の略で、一般的に「拡張現実」と訳されます。

ゴーグルの中のバーチャルワールドではなく、実在する風景にバーチャルの視覚情報を重ねて表示することで、目の前にある世界を“仮想的に拡張する”というものを「AR」と総称します。

【2020トレンド予測】Instagramを活用する企業が導入すべき”ARフィルター”とは

VRとの違い

ARと似た言葉としてVRというものがあります。VRとはVirtual Realityの略であり、VRゴーグルを装着した向こう側の世界が100%バーチャルな世界になる体験を指し、まるで自分がデジタル世界に入り込んだような感覚になります。VRも3Dなどのデジタル表現を駆使したものですが、現実世界にバーチャルな視覚情報を重ね合わせるARとは異なる体験といえるでしょう。

ARとマーケティングの相性がいい理由とは

ARとマーケティングは、相性のよい組み合わせです。なぜARとマーケティングは相性がよいといわれているのかを解説します。

ユーザーも楽しめる

ARの大きな特徴が、ユーザーが楽しみながら情報を得られることです。ARを取り入れた広告は、企業側が伝えたい情報を届けるだけではなく、ユーザーが能動的に楽しめます。結果として、ユーザーの記憶に残るうえに、企業に対し好印象を持つようになるというメリットがあります。スポーツ業界であれば、スタジアムに行けなくても目の前の現実世界に選手が出現してくれるようなAR体験はファンの心を動かしますよね。

情報が拡散されやすい

先述のとおり、ARはユーザーに楽しい経験を与えながら、情報が届けられます。楽しかった、興味深い体験だったという印象が残れば、ユーザーがその経験を誰かに伝えたくなります。SNSなどのユーザー数が多いプラットフォームで紹介されると、さらに拡散されて多くの人にリーチできるでしょう。

イベント・お出かけ産業でのAR活用事例

おでかけ先の施設やイベント会場での誘客、満足度向上につながる国内外のAR施策をご紹介してまいります。

事例①博物館|オーストリア・ウィーンにあるフロイト博物館

ジークムント・フロイト(独: Sigmund Freud、1856年5月6日 – 1939年9月23日)とは、オーストリアの精神科医です。精神分析学という現代に続く学問の始祖とも呼ばれる人です。

そんな偉大なフロイトの博物館は、なんとフロイト本人がかつてそこに住み、診療を行なっていた住居をそのまま博物館にしたものです。博物館の中では、精神分析の歴史や彼の生涯について展示しています。

AR体験は、「フロイトは今もなお生き続けている」というメッセージが込められたARのタイトルからもわかる通り、「フロイトになれる」という体験になっています。カメラを自分に向けてかざすと自分の顔がフロイト本人のように変化するようになっており、「フロイトさんが生きていた時って、こんな感じだったんだ」というリアリティや親近感を感じられます。

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事例②アートイベント|29Rooms & Facebook

29Roomsは、『Refinery29』というミレニアルズから絶大な人気を得るメディア企業がニューヨークのブルックリンで開催したミレニアルズ向けアートイベントです。様々なセレブや有名人も参加しています。

イベントはミレニアルズに大受けし、チケットは毎年完売。イベントのInstagram公式アカウントのフォロワーは17.4万を越えています。

世界20都市以上での開催を目指し、東京も視野あるという情報もあります。東京でも開催されたら是非参加したいですね。

29Roomsを運営する、「Refinery29」とは

アートイベント「29Rooms」を運営する「Refinery29」というメディア企業は、日本ではそこまで認知されていないかもしれませんが、若い女性に焦点を当てたアメリカのデジタルメディアおよびエンターテイメントメディアです。

2005年の設立以来、ミレニアル世代の女性から圧倒的な人気を得ています。

「ものを買わない世代」といわれるミレニアルズから絶大な信頼を得るメディアと呼ばれており、こちらのWIRED記事には

同社のサイトによると、FacebookやSnapchat、Instagramなどを含めた全プラットフォームのユーザー数は合計で月5億人。全ユーザーのサイト滞在時間の合計は、2016年の1年間で5,000万時間にのぼる。12種類あるメルマガの合計購読者数は240万人。「クリック・トゥ・オープン率」(メルマガ経由でサイトの記事を読んだ人の率)は63パーセントで、これは全米平均の15パーセントを大きく上回るという。

とあり、その圧倒的な人気ぶりが伺えます。メルマガから63%も記事に到達するというスコアには凄まじさを感じます。

ARフィルターを活用したアートイベント

そんな29RoomsとFacebookがコラボレーションした「THE MIRAGE」というイベントが開催されました。会場に展示されたアートを専用のARフィルターで読み込むと様々な演出を楽しむことができます。

デモ動画を見るだけでもアートな雰囲気を感じることができますね。

InstagramのARはフィルター単体で楽しむシチュエーションだけでなく、リアルイベントのコンテンツと組み合わせて提供すること可能です。

そこでしか体験できないコンテンツを提供することで、会場への集客やUGCの発生を促すことにとても効果的です。

以下の事例ではLondonのadidasではストア内にアート作品を展示し、作品にスマホをかざすとAR体験が始まるような活用方法もされています。

事例③美術館|オンタリオ美術館

カナダのトロントにあるオンタリオ美術館では、ARを活用した来場者体験をいち早く導入しました。こちらはInstagramではなく専用のアプリを使った事例です。

「ReBlink」と呼ばれるARアプリをインストール・起動し、マークのある作品の前でタブレットやスマホをかざすことによって、2次元の絵画が3次元の演出へと拡張されます。

事例④美術館|クリーブランド美術館

クリーブランド美術館は、アメリカ合衆国オハイオ州クリーブランド市にある全米有数の規模の総合美術館です。

同館では、最新のARテクノロジーとモーションキャプチャーテクノロジーを完全に組み合わせて、アート作品の拡張に最大限に活用しています。インタラクティブなAR陶器製造スタンドやデジタルペインティングキャンバスなどは子供大人に関わらず大人気なコンテンツです。

事例⑤店舗内ARアート|adidas Londonによる店舗体験の拡張

「adidas」とInstagramで検索すると、2,560万のフォロワーを抱えるadidas公式アカウントがTOPに登場しますが、 それ以外にも「adidas tokyo」や「Korea」のような各国でローカライズされたInstagramアカウントや、「Football」「Running」などカテゴリー別のInstagramアカウントも運営しています。

今回ご紹介するアカウントは「adidas tokyo」と同じくロンドンローカルのアカウントという意味合いで理解して進めていきます。164万人のフォロワーを抱える、人気アカウントです。

直感的には理解できないARのデモ動画

最初のデモ動画だけ見ると、どのような体験ができるか理解が難しいです。これは店舗内のカスタマーエクスペリエンスを拡張する目的で作られたARであり、SNS内だけで楽しむというユーザーを最初から相手として考えていない設計から来ています。

実際に調べてみると、「アディダスはInstagramのARゲームをロンドンストアでローンチした」というストア体験をベースにした記事が出ています。この点が他にはあまりない珍しいARに感じる背景になっています。

<デモ動画の様子>

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これを見ただけでは「?」という状態になります。

3種のアート作品の拡張体験を楽しむAR

実際にカメラを開いてみると、以下のようなナビゲーションが出てきます。これも珍しいですが、店舗内のカスタマーエクスペリエンスを拡張すると考えると理解できます。

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「アディダスと共に、未来へ行こう。」
「店舗内で3つのAR体験を探そう。」

そんなメッセージが表示されます。そして左にスワイプすると、3つのアートワークが出現します。

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店内でこれら画像のアート作品を見つけ、このカメラで表示されている画像にアート作品を合わせると、面白いARの演出があるよ…ということですね。

ARで店舗体験を拡張する

店舗内をアートギャラリーのようにするアプローチはNIKEやDieselなど、様々な小売店・ファッションブランドで展開され始めていますが、

adidas Londonは、そのさらに一歩先をいく「お店に飾られたアートがARで動き出す」「ARゲームとして楽しめる」という体験をInstagramを活用して提供しているというわけですね。

本当はよくないと思いますが、今回は試しにこれらアート作品の画像をPCで表示させ、その画像にスマホをかざしてARを楽しむという遊び方をしてみたところ、ちゃんと動きました。

アート作品が動き出す面白い演出があったり、ゲームが始まったりして楽しめました。(この記事では、せっかく店舗内で限定した体験なので画像や動画は掲載しません。)

これでようやく冒頭のデモ動画の全貌が理解できました。

本来の遊び方は店内だけなのでよくないとは思いつつ、「場所を制限する」という機能がInstagramのARフィルターではまだないため、強引にこういった遊びができるのも事実です。

ポケモンGOのように、ARには「ここだけの体験を簡単に創造できる」という魅力があります。Instagram以外の手法でARを活用した場所の価値の創造はスターバックスの事例がとても有益な示唆がありますので、以下の記事も覗いてみてください。

参考記事:スタバの桜ARやった?StarbucksのARを使ったリアル店舗マーケティングについての考察レポート

事例⑥イベント・フェス|ULTRA JAPAN

ULTRA JAPANのアカウントでは額にネオンが表示されるおしゃれな演出を提供しています。

イベントのアイコンとなるマークやロゴ、「TOKYO」という文字などが入れ替わりで表示される他、投稿発生率を高める工夫として美肌になる演出もあります。イベントを盛り上げる一つのツールとしてARを展開した事例となっています。

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事例⑦イベント・万博|EXPO2020ドバイ(ドバイ国際博覧会)

U.A.E.(アラブ首長国連邦)のドバイにて2020年10月20日~2021年4月10日に開催予定の「ドバイ国際博覧会」は公式Instagramを運用しており、なんとARを提供しています。フォロワー数は、すでに64万人!これは東京オリンピック公式インスタグラムのちょうど2倍の数値です。

ドバイ国際博覧会の公式サイトによると、想定入場者数は約2,500万人とのことで、開催期間の長さが大きく異なりますが、東京五輪は期間中の来場者予測数が延べ約1,000万人と出ておりますので、その規模の大きさが伺い知れます。

ドバイ国際博覧会のInstagramでは、国際博覧会らしく(?)、バルーンや花火が打ち上がる演出をARで提供しています。とてもポップで楽しい印象を与えています。

また、スワイプすると顔への演出が3つの選択肢から選べるようになっており、国旗をモチーフにした2種のフェイスペイントとサングラスが楽しめます。ARで、どこにいても擬似的にドバイ国際博覧会へ行ったような気分になれる、とても素敵なARの演出です。

2025年に予定されている「大阪・関西万博」でも、ぜひARを活用して日本が先端技術を活用したエンターテインメントやプロモーションで先行していることを示したいですね!

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事例⑧ファッションイベント|東京ガールズコレクション

東京ガールズコレクションの公式アカウントでは、額にネオンが表示される演出と、顔へのフェイスペイント、ハートマークが空間中に表示されて色が変化していく演出が、複合的に提供されています。

撮影する人が「可愛い」と感じられる演出をARで提供し、撮影・投稿を促すような導線になっています。

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娯楽施設やイベントとARの相性が良い理由とは

ここまでは娯楽施設やイベントでのARの活用事例を紹介してきましたが、それ以外も含めてお出かけ先では今後、さまざまなARの導入事例が増えていくでしょう。その用途や背景についても解説をしていきます。

音声ガイドを拡張する

ARによって、現状の音声ガイドを拡張することが可能です。ARを活用することによって、ホログラムでガイドを表示したり、3Dモデルや動画などの資料を任意の場所に表示し、来場者の学習効率を高めることができます。

これは今後、さまざまな施設で導入が進んでいく用途になるでしょう。

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インタラクティブな体験を提供できる

ARを活用することによって、CGならでは表現を行うことが可能です。

また、ユーザーの操作によって演出が変化するようなインタラクティブな表現も可能です。

例えば美術館であれば、これまでだと「静止画を見る」という一方向の体験でしたが、これがARを活用していくと双方向にすることが可能です。

作品をARと一体化することで、来場者が触れられるようにしたり、あるいは「触れた」という動作をコンピュータが検出してユーザーの動きに合わせて反応したり変化したりするようなインタラクションを設計したりすると、これまでとは全く違ったユーザー体験になるでしょう。

施設工事を不要で演出を追加できる

また、施設工事が不要なのも、ARの大きなメリットの一つです。

ソフトウェアで提供できるため、実際に内装を施設工事するより大きくコストを抑えることが可能になってしまいます。シーズン毎の演出の切り替えなどにも相性が大変良いです。

内装費用をかけないのに、体験がリッチになってしまう。従来の主砲に比べてコストが下がるのに、逆に体験の質はよくなってしまう。こういった従来のやり方を破壊するようなインパクトがイノベーションだと考えると、ARはまさに世の中を大きく変化させるテクノロジーだと理解できます。

まとめ

以上、国内外の娯楽施設やイベントでのAR活用事例を解説しました。美術館でのARの導入事例など、印象的なプロモーションが多かったですね。

娯楽施設やイベント会場に問わず、ARを活用したマーケティングはあらゆる産業で日増しに重要になっており、今後は必須のアプローチとなるでしょう。

株式会社OnePlanetは、今回ご紹介したようなARマーケティングについて、企画から開発、分析やレポーティングまでワンストップでの提供が可能です。先行する海外のARマーケティング事例について、常に情報を収集・発信し、成果を生む方法を研究しています。

ARを使った広告やプロモーションにご興味のある方は、ぜひ一度ご相談ください。