ARデバイス

現実世界にさまざまな情報を付加する技術である「AR」。とても便利でおもしろい技術ですが、ARを楽しむには「デバイス」が必要です。

デバイスとは、直訳すると「装置・機械」という意味です。ARによって付加される情報は「文字」や「画像」、「動画」などさまざまですが、そのすべてはデジタル情報です。デジタルを扱うための装置や機械が必要というわけです。

この記事では、よく使用されているARデバイスについて、代表的なものをまとめ紹介します。

ARを体験できるデバイス代表は「スマートフォン」と「タブレット」

スマートフォンとタブレット

ARを体験できるデバイスとしてよく知られているのは、スマートフォンやタブレットです。スマートフォンやタブレットの機能を左右するのが、搭載されているOS(オペレーションシステム)です。

OSとは、端末の動作をつかさどる脳のようなものです。難しく聞こえるかもしれませんが、iOS・Androidと言えばわかるる方も多いのではないでしょうか?日本で発売されているスマートフォンやタブレットの中で手軽にARを楽しめるOSは、大きく分けて次の2種類です。

スマートフォン・タブレットで有名なOS
  • iOS:Appleが開発
  • Android:Googleが開発

ここ数年、AppleとGoogleはAR分野の開拓に力を入れています。各社がARプラットフォームをリリースするとともに、スマートフォン・タブレットのカメラやセンサーが飛躍的に発達しました。そのため、現実との融合性が高く、リアルで実用性の高いAR体験が可能になりました(ARプラットフォームとは、ARをスマートフォンやタブレットで楽しむための土台となるプログラム、と考えてください)。

ここでは、ARを楽しむうえで知っておいて欲しい特徴を、iOS・Androidそれぞれ紹介します。

iOSスマートフォン・タブレット

iOSのスマートフォンとタブレット

iOSは、Appleが生産・販売しているスマートフォンやタブレットに搭載されています。iPhoneやiPadが代表的です。Appleは、iOS向けのARプラットフォームとして2017年に「AR Kit」をリリースしました。端末のカメラやセンサーによって、現実世界の距離・幅・奥行・高さなどをリアルタイムで測定することができます。

たとえば、何もない部屋に実寸大の家具をどんどん並べてインテリアのシミュレーションをするといったことが、ARで可能になりました。AR Kitは年々進化しており、さらに複雑な処理を瞬時におこなって、よりリアルなAR体験を実現させています。

ただし、AR KitはすべてのiPhoneやiPadに対応しているわけではありません。2020年8月現在でAR Kitに対応している端末は次のとおりです。

ARを楽しめるiOSデバイス
  • iPhone 6s
  • iPhone 6s Plus
  • iPhone 7
  • iPhone 7 Plus
  • iPhone 8
  • iPhone 8 Plus
  • iPhone X
  • iPhone XR
  • iPhone XS
  • iPhone XS Max
  • iPhone SE
  • iPhone 11
  • iPhone 11 Pro
  • iPhone 11 Pro Max
  • iPad Pro(すべてのモデル)
  • iPad Air(第3世代)
  • iPad(第5世代以降)
  • iPad mini(第5世代)
  • iPod touch(第7世代)

    iPhone 6sが発売されたのが2015年9月なので、それ以降に発売されたiPhoneやiPadであれば作動します。ただし、ARアプリで楽しむコンテンツは年々とてもリアルで動的なものになっています。古い機種だとスペックが十分でなく、スムーズな動作が難しい場合もあるので注意しましょう。

    Androidスマートフォン・タブレット

    Androidのスマートフォンとタブレット

    Androidは、Googleが開発したスマートフォン・タブレット向けOSです。世界中たくさんのメーカーがAndroid搭載のスマートフォンを発売しています。Googleが提供しているARプラットフォームは「AR Core」です。ちょうどiOS向けの「AR Kit」と同じ頃にリリースされました。

    できることは、iOS向けのAR Kitとほとんど同じです。端末のカメラやセンサーによって目の前の空間を認識し、リアルな大きさでCGの家具や動物などを登場させることができます。ただし、「AR Kit」はiOSのみ対応なのに対し、「AR Kit」はAndroidとiOSどちらにも対応していることが大きなメリットです。

    AR Core対応機種は非常に数が多いため、ここでは日本製のSHARPとSonyから発売されているものだけピックアップします。

    ARを楽しめるAndroidデバイス(一部抜粋)

    SHARP

    • AQUOS R3
    • AQUOS sense3
    • AQUOS sense3 basic
    • AQUOS sense3 plus
    • AQUOS zero2
    • S7

    Sony

    • Xperia XZ Premium (Android8.0以降のバージョンのみ)
    • Xperia XZ1 (Android8.0以降のバージョンのみ)
    • Xperia XZ1 Compact (Android8.0以降のバージョンのみ)
    • Xperia XZ2 (Android8.0以降のバージョンか、2018年8月以降のソフトウェアアップデートした端末のみ)
    • Xperia XZ2 Compact (Android8.0以降のバージョンか、2018年8月以降のソフトウェアアップデートした端末のみ)
    • Xperia XZ3 (Android8.0以降のバージョンか、2018年8月以降のソフトウェアアップデートした端末のみ)
    • Xperia 1
    • Xperia 1 Professional Edition
    • Xperia

      他にもSamsung・LG・Huawei・Asus・Google・Motorolaなど、海外メーカー製の機種も幅広く対応しています。すべての対応機種はARCore supported devicesで確認できるので、ご自分のAndroid端末が対応しているか知りたい人はチェックしてみてください。

      身に着けるARデバイス?「スマートグラス」と「ARグラス」とは

      ARグラス

      スマートフォンやタブレット以外でARを楽しめるデバイスとして「ウェアラブルデバイス」があります。メガネのように装着し、レンズエリアにさまざまな情報を表示させます。

      AR体験ができるウェアラブルデバイスは、大きく次の2種類に分けられます。

      ARが体験できるウェアラブルデバイスの種類
      • スマートグラス
      • ARグラス

      見た目は似ている2種類のデバイスですが、どのような違いがあるのか、またそれぞれの代表的な機種を説明していきましょう。

      スマートグラスとARグラスの違い・特徴は?

      ウェアラブルデバイスを装着している人

      「スマートグラス」と「ARグラス」は、しばしば混同されがちです。しかし、そもそもデバイスとしての用途が大きく異なります。もっとも大きな違いは、「ARに特化しているか・そうでないか」です。ARに特化しているのがARグラス、そうでないのがスマートグラスです。

      ARグラスは、その名の通り、ARを体験するためのデバイスですリアルタイムで現実世界の情報を認識するためのカメラやセンサーが搭載されていることが特徴です。カメラやセンサーがあるぶん、見た目がゴツくなって重いです。グラス(メガネ)というよりは、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)と呼んだほうがしっくりくる形をしています。

      スマートグラスは、主たる目的は「グラス(メガネ)」です。メガネにさまざまな機能が付加されたデバイスです。スマートウォッチ(時計)のメガネ版と考えるとわかりやすいでしょう。現実空間を認識するのではなく、あくまで情報を表示させるのがメイン機能です。カメラやセンサーなどがないぶん、見た目がシンプルで軽いデバイスが多いことが特徴です。

      スマートグラスの利点と代表的なデバイス

      スマートグラスの利点は、情報をみるときに視線をそらす必要がないことです。たとえば、Google Mapのナビゲート機能を使う際、歩きスマホだととても危険ですよね。しかし、スマートグラスなら前を見て歩きながら視線をそらさずに情報を取得できるというわけです。

      このように、スマートグラスによって「安全に〇〇しながら情報を得る」ことが容易になりました。結果、作業の効率化や安全性の向上に貢献できるのです。ここでは、代表的なスマートグラスを3つピックアップして紹介します。

      代表的なスマートグラス
      • Glass Enterprise Edition 2
      • AceReal One
      • MOVERIO BT-300

      Glass Enterprise Edition 2

      Googleが2019年5月に発表した法人向けスマートグラスで、「Google Glass」の第二世代という位置づけです。主に、工場や倉庫などの現場作業をアシストするデバイスとして設計されています。説明書やマニュアルを作業しながら閲覧できることが強みです。

      国際輸送物流会社DHLが、倉庫のピッキング業務現場へ導入することを発表、「作業効率や正確性の向上が見込める」と高く評価したことで話題になりました。

      AceReal One

      AceRealは、サン電子株式会社のスマートグラス×ARのトータルソリューションブランドでず。IP54準拠の防塵・防水規格対応で、過酷な作業現場でも機能することを目的に設計されています。ヘルメットにも装着可能なデザインで、作業しながらハンズフリーで操作できるよう、音声認識エンジンと音声入力機能が搭載されています。

      MOVERIO BT-300

      MOVERIO BT-300は、EPSONが発売している両目タイプのスマートグラスです。動画を大画面さながらのサイズ感で見るのに適しています。YouTubeや動画配信サービスなどを楽しんだり、ドローン撮影時に操作しながらリアルタイムでプレビューできたりといった使い方ができます。

      ARグラスの利点と代表的なデバイス

      ARグラスを装着している男性

      ARグラスの利点は、ハンズフリーでAR体験ができることです。スマートフォンやタブレットなどを使用する場合、どうしても手がふさがってしまいます。しかし、ARグラスなら自分の動きに合わせてリアルタイムで目の前の状況を分析し、情報を表示させられます。そのため、工場や倉庫などの現場作業でのマニュアルや進捗管理の表示など、状況が変動するビジネスシーンで導入する動きが活発化しています。

      最近ではAR(拡張現実)だけでなく、仮想世界の情報を現実世界に融合させるMR(複合現実)という機能を搭載したグラスも増えており、MRグラスと呼ばれることもあります。代表的な機種や、比較的新しいARグラスをピックアップして紹介していきましょう。

      代表的なARグラス
      • HoloLens2
      • Magic Leap One
      • NrealLight
      • GLOW
      • MREAL
      • ThinkReality A6

      HoloLens2

      HoloLens2は、Microsoftが開発したARグラスです。この手のデバイスの中では先駆者的存在だった「HoloLens」の第二世代的な位置づけです。視野角が非常に広くなり、5本指での繊細な操作やアイトラッキング機能の搭載など、大幅にスペックが向上しました。ハンズフリーで操作できるARグラスとしてさまざまな業界で使用されています。

      最近ではARグラスというより、現実世界に仮想世界を組み合わせるMRグラスとしての存在感が高まっているように感じます。

      Magic Leap One

      Magic Leap Oneは、アメリカのMagic Leap社が開発。ディスプレイとなるヘッドセット・プロセッサ(コンピュータの計算をおこなう部分)とバッテリが一体化したユニット・コントローラの3点セットで動作します。日本国内では、2020年6月19日からNTTドコモより販売されています。

      NrealLight

      NrealLightは、中国のNreal Ltd.が開発したARグラスです。サングラスのような見た目と軽いかけ心地が特徴で、スマートフォンと接続して利用するタイプです。5G普及を見越した新たなサービス展開を目指して、メルカリとの新サービス実証実験をはじめ、ショッピング分野への対応に力を入れている動きがみられます。

      GLOW

      GLOWは、香港のMAD Gaze社が開発したARグラスです。2020年4月より、クラウドファンディングサイトで日本市場へ販売開始されました(現在は募集終了)。スマートフォンに接続して使用するタイプのARグラスで、118インチの大画面スクリーンで動画コンテンツを楽しめます。

      カラーバリエーションは6色展開で、サングラスのような見た目が特徴です。メガネショップで度付きレンズを取り付けることができます。個人向けのAR・MRグラスとして利用シーンが広がりそうです。これから継続的に発売されるのか、動向に注目したいところ。

      MREAL

      MREALは、キャノンITソリューションズが開発したARグラスです。同社のアプリケーションやセンサーなどを、使用用途に応じてカスタマイズして使用します。ARというよりは、MRを搭載した複合現実ソリューションという位置づけです。3Dデータを実寸表示させて、建築業界や製造業界での事前検証を低コストで実施するなど、ハイスペックなMR体験が必要なシーンで利用されています。

      ThinkReality A6

      ThinkReality A6はPCメーカー・レノボが開発した法人向けARグラスです。レノボが提供するARプラットフォーム「ThinkReality」のヘッドセット、という立ち位置で発表されました。生産現場での作業員のトレーニングやミス率の減少などに期待できるほか、さまざまなケースに応じたアプリ開発まで可能です。

      ARデバイスの今後の動向は?

      サッカー場

      一般の人がARを楽しむために使用するデバイスは、まだまだスマートフォンが主流です。しかし、最近はスポーツ観戦にスマートグラスを用いて情報を付加する取り組みや実証実験が進んでいます。

      5G回線の普及により、AR技術でリアルタイムに情報を表示させる動きは、今後ますます加速するのではないかと考えられます。来年2021年開催予定のオリンピックの際には、ウェアラブルデバイスを使ったARが、よりメジャーなものとなっているかもしれませんね!

      まとめ

      ARのデバイスとして代表的なものを紹介しました。ARグラスやスマートグラスは、ビジネスユースで高い評価を得ている機種も増えています。これからの普及動向に注目したいところです。