時代の変化に伴い、広告手法の多様化が進んでいます。そんな中で、特に近年注目を集めているのが、AR(拡張現実)を使ったプロモーションです。
スマートフォンやタブレットの精度やAR技術の進化したことにより、より多くの人が手軽にAR体験ができるようになりました。さらに2024年2月には、スマホに加えてApple社の新デバイス「Apple Vision Pro」まで発売され、いよいよ大きく世の中を変革するのでは?という機運が高まってきました。
今後ますますAR広告により、より意外性が高くて面白い表現ができるようになることは間違いありません。
企業や商品のプロモーションご担当者の中にも、ARを使った広告やPRに興味をお持ちの方も多いのではないでしょうか? Z世代の40%がARを日常的に利用しているというレポートもあり、これからますます注目されていくことが予想されます。そこで本記事では、
- AR広告とはどんなもの?
- AR広告のメリット
- AR広告の国内外の最新事例22選
についてまとめました。
目次
AR広告とはどんなもの?
AR広告とは、その名の通り、AR(拡張現実)を使った広告手法です。スマートフォンやタブレット、カメラ付き端末などを使って、現実世界にデジタルな情報を付加し、現実+仮想の世界観を楽しめるのが特徴です。どのような効果が期待できるか、4つピックアップしてご紹介します。
SNSでのバズ拡散による話題性を狙える
SNSでは、ユーザーが「面白い!」「見てほしい!」「楽しい!」「共感できる!」と感じた体験は積極的にシェアされます。ARはさまざまなコンテンツをデジタル表示させたり、ゲーム性を持たせたりできる分、ユーザーの共感を得やすい特徴があるのです。
すなわち拡散効果(バズ効果ともいいます)が期待できるということです。自社のAR広告がSNSでバズれば、プロモーションとしては大成功といえるでしょう。
SNSで話題になったARプロモーションの1つに、アメリカのアパレルメーカー「Foot Locker」が実施したプロモーションイベント「The Hunt」が挙げられます。
「Nike」の新しいエアジョーダンのプロモーションで、街中に隠されたARマーカーをハンティングしていくというイベントです。最後のマーカーまでハンティングできた人だけが新作のエアジョーダンを購入できる権利が与えられ、開始からわずか2時間で完売するほどの人気ぶりでした。多くの人が、苦労して入手した限定のエアジョーダンをSNSにアップし、大きな話題を呼んだのです。
まさにユーザーの「見てほしい!」「面白い!」という思いをくすぐることに成功した事例といえるでしょう。
購買意欲の向上
現実にデジタル情報を付加できるARは、商品があたかもそこに実在するかのように見せられるメリットがあります。つまりARを使えば、「実店舗に行かなくともバーチャルでお試しができる」ということです。有名な事例として、IKEAの家具設置シミュレーションがあります。
家具を部屋に設置したイメージが直感的に分かることで、とても話題になりました。バーチャルでお試しできるARは、実はEコマースと非常に相性が良いです。お店に行かずとも購入した後の使い心地などをイメージできるので、購買率がアップする効果が期待できます。
特にネットショップでの売上が年々拡大しているコスメ業界やアパレル業界においては、あたかも本当に商品を試しているような「試着AR」が増えています。
YouCam メイクは、ARに最新のAI機能を搭載したバーチャルメイクアプリです。
カメラで写した自分の顔に再現度の高いメイクを施せます。
数多くの化粧品メーカーとコラボしており、その数なんと200以上にものぼります。
手軽にいろんな色やアイテムを試せるので、「イロチ買い」「シリーズ買い」といったまとめ買い効果が期待できます。
ブランドへの愛着を生み出す
ARは、絵や動画のように「視聴する」だけでなく、動かしたりかざしたりといった「体験させる」という要素を加えられるメリットがあります。こうしたインタラクティブ性のあるARは、ブランドのメッセージやストーリーをより面白く・印象に残る方法で伝えられるのです。ARをうまく使ったプロモーションを展開することで、ブランドや商品のファンづくりにも大きく貢献することでしょう。
たとえばアパレル業界ではこんな事例があります。
中国のストリートファッションブランド「HIPANDA」が、日本の表参道でオープンした「HIPANDA OMOTESANDO FLAGSHIP SHOP」で展開しているARプロモーションです。店舗のコンセプトキャラクターであるパンダが、ARによって大量に現れる仕掛けが施されています。
ブランドの世界観を思いっきり楽しめるAR体験になっているだけでなく、店内の回遊性を高め、滞在時間が伸びる効果も期待できます。
パーソナライズ広告の可能性
将来的には、個人の行動履歴などに合わせてARで体験できるコンテンツをパーソナライズ化(個別化)するという構想があります。
現在のARでも、スマートフォンやタブレットのGPSや時間情報に連動して広告コンテンツを変える、という程度のことは可能です。しかし個人向けにカスタマイズされた複数の広告を、1つの広告枠で発信できるとなると、広告配信のあり方も大きく変わりそうですね。
AR広告のメリット
AR広告には、従来の紙や動画とは異なるメリットがあります。
どのようなメリットがあるか、3つピックアップしてご紹介します。
ダイナミックな表現が可能
ARの面白さは、現実世界とデジタル情報の融合です。
デジタル情報とは文字や動画だけでなく、CGを登場させることもできます。
これにより、従来の紙や動画の広告よりも、よりダイナミックで面白い表現が可能になります。
こちらはブラジルて展開されたバーガーキングのAR広告です。なんと、専用アプリを起動してライバルのバーガーチェーンの広告やクーポンをかざすと炎が現れて焼き尽くしてしまいます!焼き尽くした後は、バーガーキングで使えるクーポンが表示される、という仕組みです。
かなり攻めた広告ですが、こういった面白い・目を惹く演出も可能なのがARの面白さといえるでしょう。
従来以上のユーザーデータが取れる
ARは作り方次第で、Webと同じようにアクセス記録を取れます。これは、紙媒体とは異なるメリットです。さらに、例えば「3Dオブジェクトのどの部分をタップした」など、従来はなかったインタラクティブな体験型広告しか取得できないデータを取ることもできます。また、Appleの新デバイス「Apple Vision Pro」では、視線でカーソルを操作するような全く新しいUIUXが出てきています。
Appleはプライバシーを重視しているため視線のデータは開示されていませんが、ARの普及により、今までとは異なる新しいユーザーの行動データが取得できるようになります。「何時ごろ・どういった場所で、どのようにARが起動されたか」というログを分析することで、自社商品やサービスのマーケティングに活かせる貴重なデータとなるでしょう。これは、今後のAR広告の活用における大きなメリットとなります。
WEBとの親和性が高い
先ほど「試着AR」でもありましたが、ARはWEBサイトとの親和性が非常に高いというメリットがあります。最近ではWEBブラウザ上で起動できるブラウザベースのARも増えています。ユーザーにとってもアプリをダウンロードするハードルが下がり、より手軽にAR体験ができるようになりました。
通常のWEBページに期間限定でARを使ったプロモーションページにジャンプさせたり、試着ARとネットショップと連動させて購買率を高めたりといった、さまざまな使い方が想定できるでしょう。既存のWwebページと、ブラウザベースの「Web AR」を組み合わせた新しいユーザー体験は、AR広告の最新トレンドとして成功事例が生まれてくると考えられます。
ARを使った広告・プロモーションの国内外の最新事例22選
ARを使った広告やプロモーションの事例は国内外に多く存在しますが、その中でもユニークで話題になった事例を世界中からARマーケティングラボの編集部が厳選して、4つの業界別にご紹介します。
- AR広告の成功事例:食品業界編
- AR広告の成功事例:ECサイト編
- AR広告の成功事例:SNS編
- AR広告の成功事例:地方自治体・イベント編
AR広告の成功事例:食品業界編
食品業界は、自由な発想でAR広告を制作している企業が多いです。これから紹介する事例はいずれも、ブランドや商品メッセージを伝えながらも、ユーモアあふれる広告で成功をおさめたものばかり。ARの強みを最大限に生かすのなら、枠にとらわれない発想が重要になるのかもしれません。
- バス停をAR広告にしたペプシマックス
- ドミノ・ピザ ジャパンのAR
- コカ・コーラがARで訴える北極動物の保護
- バーガーキングのAR広告
- うなぎパイの自社施設の認知を狙ったAR広告
- ジャックダニエルのブランドに愛着を持つARアプリ
事例①バス停をAR広告にしたペプシマックス
ペプシマックスはARの力で、ロンドンの退屈なバス停をユーモアあふれるものに変えました。一見すると、バス停の透明な窓はごく普通のもの。しかし、窓はHDスクリーンが映すライブビデオにAR映像を追加したものなのです。バスを待つ人々は、ディスプレイを通してUFOやロボット、風船で空飛ぶ人などを目撃しました。
キャンペーン結果、動画はYouTubeで800万回以上再生を記録。大手メディアにも特集、ペプシマックスの売上は最大35%伸びるほど大成功を収めたのです。
事例②ドミノ・ピザ ジャパンのAR
先進的なマーケティングの取り組みが有名なドミノ・ピザ ジャパンでは、新商品のプロモーションにARを導入しています。
2021年11月1日にリリースされた「ワールド9チーズ・クワトロ」のプロモーションとしてAR開発企業のOnePlanetのARを採択し、「ドミノ”チーズの世界をめぐる旅”AR」というユニークなARコンテンツを発表しました。
チーズでできた世界地図が目の前に出現し、ユーザーはドミノ・ピザのこだわりのチーズを世界地図の上でめぐる旅ができるAR体験となっています。楽しみながらチーズの学習ができるだけでなく、ドミノ・ピザの素材へのこだわりも伝わり、ブランドへのロイヤリティを高めることに貢献しています。
自宅に居ながら、世界中のチーズを知ることができる旅へと出かけられるような非日常のAR体験は、SNSでも話題を集めており、国内でも先進的なARマーケティングの事例と言えるでしょう。
ドミノ・ピザでは前年にも株式会社OnePlanetと共にARを使った先進的なマーケティングを実施しており、その裏側について詳細は、こちらのインタビュー記事「アプリDL不要、ブラウザだけでAR体験! ドミノ・ピザが仕掛けたWebARを使ったCX戦略とは?」に詳しくまとまっています。
また、有名Youtuber、SEIKINさんのこちらの動画でも、その楽しいブランドプロモーションの様子が覗けます。
商品サイト:https://www.dominos.jp/world-ar
事例③コカ・コーラがARで訴える北極動物の保護
コカ・コーラはWWF(世界自然保護基金)とともに、北極動物の保護を訴えるAR広告を作りました。彼らはロンドン科学美術館に、ARを使ってシロクマの家族を映す装置を設置したのです。ちなみに、シロクマはコカ・コーラを象徴するマスコットキャラクターです。観客たちは、仮想ながらも実寸大のシロクマに近づくことで、地球温暖化問題について考えることができました。
このAR広告は、388回もメディアに取り上げられたのです。また、コカ・コーラは地球温暖化問題に取り組む姿を見せられ、ブランドイメージを高められました。
事例④バーガーキングのAR広告
バーガーキングの広告はユニークでたびたび話題となります。紹介するのは、ARの力でライバル・マクドナルドの広告を燃やすキャンペーンです。キャンペーン期間中、ユーザーがアプリでマクドナルドの広告をスキャンすると、マクドナルドの広告がARエフェクトで燃やされるのです。その後に現れるのが、ハンバーガー無料券。これは、マクドナルドの広告ポスターをARマーカーにした事例です。
キャンペーン結果、バーガーキングアプリのダウンロード数は伸び、多くの人々の集客に成功しました。
事例⑤ジャックダニエル AR絵本アプリ
アメリカのウイスキー製造メーカー「ジャックダニエル」が、ジャックダニエルの歴史やウィスキーの製造方法を学べるARアプリをリリースしていました。自社ブランドの商品ラベルをカメラが認識すると、創業ストーリーや醸造所のこだわりエピソードが、3Dの絵本になって立体的に目の前で展開されるAR体験になっています。
ストーリーは、「創設者 ジャック・ダニエルの生涯」「リンドバーグにあるジャックダニエル社のウィスキー蒸留所」「ウィスキーの製造工程」の3章仕立てになっています。
まるで飛び出す絵本のような世界観で、ナレーションもついており、ついじっと見入ってしまう不思議な魅力があるARです。ジャックダニエルファンにはたまらないプロモーションではないでしょうか。
このようにブランドとファンとの長期的な関係性を構築することに、最先端のAR技術などデジタルツールを取り入れる企業・ブランドが世界中で増えてきています。ブランドのイメージにあわせたデジタル体験を取り入れれば、たくさんの人から注目されるきっかけになるでしょう。
より効果的に自社の商品やサービスの魅力を伝えられるためのブランディングに役立ち、競合他社との差別化に効果的です。
事例⑥「うなぎパイ」で有名な春華堂様とコラボレーションしたAR
商品のプロモーションを狙って、AR開発に特化した株式会社OnePlanetと浜松銘菓「うなぎパイ」で有名な春華堂が共同でコラボレーションしたARをリリース致しました。
春華堂様の本社社屋でもある「SWEETS BANK(スイーツバンク)」という建物は、ダイニングテーブルや椅子などを実物の13倍にスケールアウトしたエンタメ性に富む施設になっています。
その「SWEETS BANK」をCGで再現し、目の前に飛び出していくるARコンテンツとなっていて、触ると色々なギミックがあって楽しめるようになっています。
AR広告の成功事例:ECサイト編
ECサイトでは、ARを使ってバーチャル試着を可能にしたり、実寸大商品を登場させたりするのがトレンドです。どうしても似たような広告になりがちなので、アイデアの部分でいかに競合と差をつけられるかがカギとなります。ここからは、ECサイトのAR広告成功事例を4つ紹介していきましょう。
- IKEAのバーチャル家具
- ラコステのスマホで靴の試着ができるARアプリ
- Jill StuartのEC・展示会と連動したWeb ARの活用
- ASOSのARファッションモデル
- Warbyparkerのメガネ試着AR
事例⑦IKEAのバーチャル家具
世界最大の家具メーカー「IKEA」は、ARを始めとした最新テクノロジーを積極的に導入しています。
アプリ「IKEA Place」は、スマホ画面上に実寸大の家具を表示させるのです。98%と非常に高い精度がウリです。タップするだけでカラー変更できれば、気に入った家具は直接オンラインサイトでの購入も可能です。
これまで、IKEAは店舗での直接販売を基本にしていました。しかし、それでは車を持たない若者や郊外に住む人は、なかなかIKEA製品を購入できません。しかし、このARアプリによって消費者は自宅でバーチャル家具の質感やサイズを確認し、オンライン購入できるようになったのです。
事例⑧ラコステのスマホで靴の試着ができるARアプリ
2014年、フランスのスポーツウェアメーカー「ラコステ」は、画像認識機能を備えたARアプリをローンチしました。
キャンペーン期間中、スマホでスペシャルアイコンをスキャンすると、種類の違うラコステの靴を試着できたのです。広告は大成功で、1万5千名以上の人々がアプリを利用したのでした。
事例⑨JILL STUARTのEC・展示会と連動したWeb AR
数多くのファッションブランドを扱うTSIホールディングスでは、取扱ブランドの1つである「JILL by JILL STUART」で、アプリ不要のWebARを制作できるツール「プラネター」を活用し、自社でバッグやワンピースのARを制作しました。
制作したARは、ブランドのECサイトに組み込まれて、店舗へ行かずとも実寸大で商品確認ができる形で体験型の購買促進として展開されました。
Webサイトとの連動を考える時、アプリのインストールが障壁となりますが、TSIホールディングスは「Web AR」を活用することでその障壁の突破を狙いました。
さらに、ECサイトへの組み込みに加えて、展示会やInstagramとの連動などARを多岐に渡り活用し、新しいユーザー体験の創出にチャレンジしています。
TSIホールディングス「時代を先取りするファッションエンターテインメント企業として」
https://planetar.jp/interview/h-Gd_HAf
事例⑩ASOSのARファッションモデル
ファッションブランド「ASOS」は、革新的なARアプリを開発しました。ファッション販売店のARアプリは、ユーザーに洋服の試着を可能にさせるのが一般的でした。しかし、ASOSのARアプリは、スマホ画面に実寸大のモデルを登場させるのです。
気になる商品を選択し、スマホを床に合わせると、実寸大のモデルが登場。モデルは歩いたり、回ったりしてあらゆる角度から洋服を見せてくれます。まるで本物のモデルが登場したかと思うほど精度は高いです。
精度の高さはもちろん、アイデアが独創的なこともあり、SNSを中心に大きな話題を集めました。
事例⑪Warbyparker メガネ試着AR
アメリカのメガネブランド「Warby Parker」は、iPhoneX以降に搭載されている顔面3Dマッピング機能を利用したメガネ試着サービスを配信しています。
アプリ上で試着したいメガネを選び、iPhoneのフロントカメラを起動して自分の顔を映すと、ARでメガネが登場します。
顔の向きを変えたり傾けたりしても、ずれることなく追従するのでリアルなイメージを確認できます。
気に入ったメガネはそのままオンラインショップで購入できるため、わざわざ店舗にいく必要がありません。
ARでリアルに試着体験できるなら、「手に取って実物を見れない」という不安も払拭できそうですね。
※iPhoneのFace IDで使われているTrueDepthカメラを用いているため、Android端末では非対応となっています。(2020年現在)
AR広告の成功事例:SNS編
現在大注目なのがSNS上で発表するAR広告。特に、海外企業は積極的にSnapchatで広告用のARフィルターを制作しています。まだまだ日本では普及していないものの、近い将来ARフィルターでの宣伝が一般的になるかもしれません。だからこそ、今のうちに成功事例を学びましょう。
- 映画「レディ・プレイヤー1」のAR広告
- ネットフリックスがスナップチャットで制作したARフィルター
- ビデオ会議に使えるロレアルのARフィルター
- YouTubeが提供するバーチャルメイク
- 若い世代にジョーダンのすごさを伝えるARフィルター
事例⑫映画「レディ・プレイヤー1」のAR広告
2018年公開の映画『レディ・プレイヤー1』は、これからの映画広告の在り方を示しました。
『レディ・プレイヤー1』は映画ポスターをARマーカーにしたのです。Facebookのカメラ機能で映画ポスターをスキャンすると、映画のキャラクターが登場。ユーザーは映画情報を知ることができるだけでなく、映画の世界に没入できたのです。
また、このAR広告の優れていた点は、多くの人々が持っているFacebookを活用したことです。AR広告を視聴するだけを目的に、専用アプリダウンロードする必要はなく、誰もが気軽にAR体験を楽しめました。
事例⑬ネットフリックスがスナップチャットで制作したARフィルター
AR広告導入を検討しているなら、「Snapchat」は要チェックのSNSアプリです。
多くの企業がスナップチャット提供のAR開発プラットフォームを利用して、オリジナルARエフェクトを開発しているからです。
Netflixもまた、スナップチャットで大人気作「ストレンジャー・シングス」の世界観を表現したARエフェクトを開発しました。ARフィルター制作の背景には、シーズン2の宣伝も兼ねていたようです。エフェクトを選択すると、画面上に扉が登場します。扉をくぐると、ユーザーは登場人物の部屋の中に入り込むのです。Snapchatでは、比較的簡単にARフィルターを制作できるので、試しに作ってみるのもおすすめです。
事例⑭ビデオ会議に使えるロレアルのARフィルター
化粧品メーカー「ロレアル」もまた、スナップチャットで使えるARフィルターを開発しました。フィルターをオンにすると、ユーザーの顔に同社の製品が加工されるのです。
さらに、このフィルターはZoomなどのビデオ会議、ライブ配信中にも使えます。ビデオ通話のためだけに、化粧するのが面倒くさいという人々のニーズに応えた結果となっています。
事例⑮YouTubeが提供するバーチャルメイク
YouTubeで人気のコンテンツがメイクアップ動画です。YouTubeはユーザーエクスペリエンスを高めるため、アプリを通して試せるバーチャルメイク機能を実装しました。この特徴だけ見ると、化粧品メーカー開発のARアプリと大差ないように思われます。
しかし、YouTubeでは画面分割しながらメイクを試せるのです。つまり、一つの画面でメイクのチュートリアル動画を見ながら、もう一つの画面でバーチャルメイクできるということです。このように類似するAR広告でも、小さなアイデアが大きな差を生み出します。
事例⑯若い世代にジョーダンのすごさを伝えるARフィルター
ナイキのエアジョーダンは世界的に有名です。しかし、マイケル・ジョーダンの現役時代を知らない若い世代は、彼のすごさを実感できていません。そこで、ナイキはARを活用したのです。
2018年のNBAオールスター期間中、ナイキはマイケル・ジョーダンの有名なダンクシュートを再現した、ARフィルターをスナップチャットで発表しました。ユーザーはジョーダンのすごさを目の当たりにしただけではなく、彼が履いていたスニーカーを購入する機会も得たのです。結果、23分でスニーカーは完売するという大成功を収めました。
AR広告の成功事例:地方自治体・イベント編
これまではホログラムでイベント演出を行うのが一般的でしたが、今は代わりにARを使うイベントが多いです。専用ARアプリを制作すれば、参加者の利便性とエクスペリエンスを同時に高められるでしょう。また、アプリ不要の「Web AR」も魅力的な手段になってきています。
最後に、地方自治体やイベントがAR広告を使った事例を紹介します。
- スコットランドを宣伝するARアプリ
- デジタルアートイベントで活用されたAR
- 世界最大の音楽フェスティバル「コーチェラ」のARショー
事例⑰スコットランドを宣伝するARアプリ
国がAR広告を活用した良い事例は、スコットランドのアプリ「Portal AI」です。ユーザーはアプリを使うことで、スコットランド生活の仮想体験を行えます。アプリには、留学や移住検討などをプロモーションする360種類もの動画が収録されているのです。
事例⑱デジタルアートイベントで活用されたAR
KIKKは2011年よりベルリンで開催されるデジタルアートイベントです。2018年のイベントでは、室内外に20の作品のほか、7つのAR作品を展示したのです。
AR作品を見るには、専用アプリのダウンロードが必須です。アプリにはツアーガイド機能もあり、人々は楽しく便利にイベントを回れるようになりました。
事例⑲相模鉄道「そうにゃんARスタンプラリー」
こちらは、鉄道沿線の街の魅力を知ってもらい、周遊してもらうことを狙ったイベントARの成功事例です。
相模鉄道では4月24日(日)まで「春のそうにゃんARスタンプラリー」を開催中!
対象施設3か所でスタンプを集め、指定店舗で交通系電子マネーを使用して300円(税込み)以上のお買い物をすると、そうにゃんグッズがもらえます。
スタンプ画面の提示でお得な特典も!▼詳しくはhttps://t.co/hhzGLpugz8 pic.twitter.com/2fIXi4PV87
— 相鉄 公式 (@sotetsu_group) April 15, 2022
AR特化のスタートアップ株式会社OnePlanetと相模鉄道が共同で「そうにゃんARスタンプラリー」を作成・リリースしました。
同スタンプラリーは、新しいワクワクするようなユーザー体験をきっかけに多くのお客さまに相鉄線のことを知っていただき、足を運んでいただき、沿線の魅力を体感していただくことを目的に開催されたイベントです。
これまでのスタンプラリーは紙のスタンプ帳に実際にスタンプを押していただくものでしたが、初めてAR(拡張現実)技術を採用しました。
WebARを誰でも簡単に制作できるツール「プラネター」を採択することで、アプリのダウンロードの障壁を取り除き、多くの利用者に体験していただくことに成功しました。
事例⑳劇場版スラムダンク「THE FIRST SLAM DUNK」のARコースター
2022年12月3日に公開された劇場版スラムダンクの特典で配布されるコースターをスマホのカメラで読み取ると、ARでキャラクターが動き出します。
さっき気づいたがスラダンの特典やばすぎ!QRコード読み取りして感動したわ。ARてやつ?こんなことまでできるようになったんか。 pic.twitter.com/nBFantPM0o
— こーたん@R2-D2 (@ko_tam1) December 18, 2022
こちらのコースター欲しさに人が集まるほど、興行に影響を与えました。
SNS上でも話題になっており、バズりを意識したプロモーションとなっています。
本事例は、以下の記事でも詳しく紹介されています。
事例㉑SnapChatのランドマーカー
アメリカの若年層に人気のSNS「Snap Chat」に、「ランドマーカー」という機能が搭載されているのをご存じでしょうか。
世界各国にある名所(ランドマーカー)にカメラをかざすとことで、ARスポットに早変わりする、という機能です。
https://twitter.com/akirareiko/status/1118314882078773249
こちらはアメリカのニューヨーク・マンハッタンにある「フラットアイアンビルディング」です。
アプリのカメラモードでかざした瞬間、建物全体がピザになってしまいました。
ほかにもフィルタを変えることで、ビルがぐにゃぐにゃに曲がったり、周辺をバルーンが飛び回ったりと、いろんな演出を加えられます。
ARを使うことで、現実世界に一切の変更を加えずともインパクトある表現ができるという、分かりやすい事例です。
このように、画像のような平面ではなく「立体的な建物」を認識する高度なARは、海外が主流で日本ではまだ実装例が非常に少ないのが現状です。
ARスタートアップの株式会社OnePlanetでは、Snap社と共同で「渋谷ハチ公」を立体的に認識する日本初となるランドマーカーARを手掛けており、こちらも話題を集めたARとなりました。
詳細:
https://1planet.co.jp/work/consulting/bs52_A8E
事例㉒日本初 Appleの新デバイスを使った映画「哀れなるものたち」プロモーション
AR技術に特化した株式会社OnePlanetは、ウォルトディズニージャパンが配給する2024年度アカデミー賞作品「哀れなるものたち」のプロモーションを目的として、日本初となるAppleの新デバイス「Apple Vision Pro」を使ったイベントを渋谷パルコにて2024年2月に開催しました。
当日は映画作品の人気とAppleの新デバイスへの関心の高まりが相まって、大行列ができるほどのイベントとなりました。
国内で初となるARの新デバイスを活用したイベントの事例として紹介させていただきました。
詳細:
https://1planet.co.jp/work/consulting/wVSyEjz2
まとめ
AR広告やプロモーションとはどのようなものか、メリットや事例とともにご紹介しました。紙や動画とは違うインタラクティブ性を持ち、ダイナミックな表現も可能なのがAR広告の大きな特徴です。
市場拡大しているECサイトとの相性もよく、ARを使うことで「実際に商品を手に取れない不安を払拭すること」が可能です。コロナの影響で高まっている非接触型のプロモーションへの注目や、Apple社の新デバイスや5Gの普及等が重なって、ARの注目度はますます高まるでしょう。
最近では開発会社に制作を依頼しなくても、コンテンツをアップロードするだけでアプリ不要のWebARを制作できてしまう「プラネター」というノーコードのAR制作ツールも提供されています。
ARを使った広告やプロモーションにご興味のある方は、ぜひ一度ご相談ください。