8th Wall

この記事では、Web ARの実装をサポートする「8th Wall」について紹介していきます。

8th Wallとは?

8th Wallは、Web ARの開発をサポートするツールです。

高品質なARエンジンと8th Wall内で開発が完結する開発環境とホスティングサーバーを提供してくれます。

まずは、以下の動画で全体像を掴みましょう。

8th Wallの主な機能

では、この8th Wallにはどういった機能があるのでしょうか?

大きく分けて、次の3つの機能があります。

それぞれについて解説しましょう。

8th Wallの主な機能
  • AR Engine
  • Cloud Editor
  • Built-In Hosting

機能①:AR Engine

8th Wallの一番の特徴は、Web ARとは思えない高品質なARエンジンを提供してくれることです。

平面認識をはじめ、画像トラッキング、顔のトラッキングなどさまざまな機能を提供しています。

World Tracking

モバイルブラウザに最適化された、マッピング(SLAM)エンジンを提供しています。

World Trackingを使用することで、6-DoF、照明推定、瞬時の平面検出などの機能を使用することができます。

face effect

人物の顔を認識して、メガネやジュエリーなど試着体験を提供することができます。

アプリを必要とせずに、スマートフォン、タブレット、デスクトップを含むすべてのデバイスで使用することが可能です。

Image Tracking

商品パッケージ、ポスター、看板、ディスプレイ、広告などを画像認識してトラッキングすることができます。

Image TrackingはSLAMエンジンと併用が可能で、Image Trackingとマーカーレストラッキングを組み合わせた体験を柔軟に設計できます。

Image Target APIを使用すると、体験ごとに最大1000個のアップロードされたマーカー画像にアクセスすることが可能です。

機能②:Cloud Editor

Cloud Editor

8th Wallは、AR開発に必要な機能を備えたクラウドエディタを提供しています。

このエディタを使用することで、リアルタイムに開発メンバーとプロジェクト進めることが可能です。

機能③:Built-In Hosting

8th Wallは、ホスティングサーバーも提供しています。

これにより、自社でサーバーを構築する必要がありません。

8th Wallの料金

8th Wallを使用して開発するためには、有料プランへの加入が必要です。

また、商用プロジェクトを公開するためには商用ライセンスを別途購入する必要があります。

なお、商用ライセンスはアップデートが可能で、ランクによって許容トラフィックと追加料金の条件が変化します。

機能 Agencyプラン Businessプラン
料金 $99/month $250/month
Cloud Editor + Hosting
Unlimited Seats
World Tracking (SLAM)
Image Target
Face Effects
Includes 1 Develop License

なお、いずれのプランも14日の無料トライアルがあります。

8th Wallで作られたAR体験を試してみよう

8th Wallの体験

8th Wallの公式サイトにアクセスすると、30を超えるサンプルプロジェクトを体験することができます。

8th Wallでどんな体験を作れるかぜひ実際に試してみてください。

国内での8th Wall活用事例:ドミノ・ピザ

こちらは実際に8th Wallが活用された国内での先行事例の紹介です。

ドミノ・ピザ ジャパンでは、AR開発に特化したOnePlanet社と共にWebARを活用したプロモーションを展開して話題を喚起しました。

こちらの開発環境には8th Wallが使われています。

QRコードをかざすと3Dモデルで制作された地球儀が出現し、ドミノ・ピザの商品で使用されている世界中のチーズに関する知識を楽しく学べるようになっています。

AR体験は地球儀の出現だけにとどまらず、個別の3Dアイテムをタップすることでその詳細情報が見ることができたり、実際にピザを購買するECサイトまで遷移させたりなど、WebARの体験の中に様々な機能を組み込んでいます。

こちらは8th Wallを活用して全国的にプロモーションを成功させた最新事例と言えるでしょう。

8th Wall以外のWebAR開発用SDK

WebARを開発するためのSDKは8th Wallだけではありません。

こちらは一例ですが、8th Wall以外のWebAR開発キットとして知られるロンドンのスタートアップ「Zappar」は、8th wallと同様に、画像認識、顔認識、平面認識など、主要な認識技術をWebARで提供する開発者向けツールを提供しています。

Zapparについては以下の記事で解説しています。もし興味があればご覧ください。

ロンドンのARスタートアップ、ZapparがユニバーサルAR SDK「ZapWorks」をリリース!A-Frame、Three.js、Unity等が横断可能

2022年3月、8th wallはNianticにより買収

2022年3月時点の最新情報として、WebARの技術提供で世界的に先行してきた8th wallは、ポケモンGOの提供で知られる「Niantic社」によって買収されたことが発表されました。

Niantic社はポケモンGOのような一般ユーザー向けのアプリだけでなく、ポケモンGOの開発を支えている技術インフラである「ARDK」をAR開発会社向けに提供しています。ARDKは非常に高度なAR開発ツールであり、これから多くのAR開発会社を支えることになると言われています。

そういったAR開発会社を自社のエコシステムに取り込むことを重要な戦略として位置づけるNianticからすると、8th wallはすでに多くのAR開発会社を世界中でパートナーとして有しており、さらにはWebブラウザベースでのARも提供可能になり、彼らのエコシステムを発展させる上で非常に重要な買収になったと言えるでしょう。

詳細はNianticの公式サイトにて掲載されていますので、よろしければご覧ください。

まとめ

WebリッチなAR体験を提供する際に、8th Wallは有力なツールと言えるでしょう。

初期設定や必要なツールを一式提供してくれるため、工数のコストカットと同時に、体験開発にフォーカスすることが可能です。

ぜひ、AR開発に活用してみてください。

ARマーケティングラボを運営するOnePlanetでは、国内でのAR普及を加速させるために専用アプリを必要としない「WebベースでのARソリューション」を積極的に提供しており、8thwallなどの専門性の高い開発環境を活用したリッチなARアプリケーションの開発も多く手掛けております。

また、リッチなWebARだけでなく、コンテンツをアップロードするだけで簡単にWebARを開発できる「ロケーショナー(LocationAR)」というWebAR開発ツールや、ARグラスを用いた先進的なユーザー体験の開発、いま話題のメタバースに関するサービスなど様々なサービスの提供を行っております。

ARを使った広告やプロモーションにご興味のある方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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