Instagramのアカウントに企業やブランドのオリジナルARを導入できる「Spark AR」をご存知でしょうか?
Spark ARはFacebookが提供するツールで、Instagramのストーリーで使用できるARフィルターを作成することができます。
ARフィルターは写真にエフェクトをかけることのできる技術であり、海外ではすでにInstagramで大人気の機能となっています。
そして日本でも、いま密かなブームが来ていると言われています。
今回、国内でも先進的にInstagramのオリジナルARフィルターの導入にチャレンジされた株式会社グランド・ワンのみなさまにインタビュー取材を実施させて頂きました。
AR導入の背景や導入してみた効果など、オリジナルARフィルターを導入してみた感想をざっくばらんに伺いました。
目次
AR導入企業「株式会社グランド・ワン」の概要
会社名 | 株式会社グランド・ワン |
---|---|
業種 | ファッション・アパレル |
導入背景 | ブランドとファンが繋がる新しい”体験型のプロモーション”の活用 |
株式会社グランド・ワンの事業内容
株式会社グランド・ワン(以下、グランド・ワン)は、国内外の衣料品を製造販売するアパレル企業。
カナダ生まれのスウェットブランド「gym master」(以下、ジムマスター)の日本ライセンスを取得し展開している。
gym master(ジムマスター)とは
gym master(ジムマスター)は、1916年から続くカナダのファブリックメーカーから生まれたスウェットブランド。
日本ではグランド・ワンがクラシカルなスポーツスタイルであるスウェットアイテムをタウンウエアとして再構築し、バッグや雑貨まで幅広く展開。
ライフスタイル・笑顔をも発信できるブランドとして成長中。
インタビュー対象者(TOP写真右から)
インタビューをお受け頂いたのは、株式会社グランド・ワンの4名です。
- マネージャー / 篠崎 佳子 様
- 吉川 昌輝 様
- 筋間 葵 様
- 和田 ももこ 様
導入したARフィルターの概要
今回、ジムマスターが自社のInstagarmアカウントに導入したARフィルターは次の2種類です。
- 焚き火おじさん(左):テーブルなど平面を検出し、目の前の空間でブランドの人気キャラクターと一緒に焚き火ができるAR
- MAKE SMILE(右):ARカメラを顔に向けると自分がブランドの人気キャラクターの顔になれるAR
ARはブランドとファンがつながる新しい”体験型のプロモーション”
吉川様:
最初に今回ARを制作していただいたOnePlanetさんからARをご提案頂いた際に、アパレルに限らず国外のさまざまなブランドさんのアカウントでARが急速に普及していることを教えて頂きました。
でも、日本の現場を見てみると、オリジナルでARをリリースしているブランドさんは意外と少ないと感じました。
そのため、「今がチャンスではないか?」と思って、それで「やってみたい」と感じたことが始まりです。
ありがたいことに、ジムマスターというブランドにはおもしろいキャラクターがいます。
そのため、みなさんに楽しんで頂けるおもしろいオリジナルの体験を作り、それを世の中に発信できて、なおかつそれがポジティブなブランドイメージにつながっていけば良いと考えて、ARの導入を決めました。
Instagramを活用したプロモーションは以前から実施していましたが、写真をアップして文章を加えて発信することしかできておらず、限界を感じていました。
実際にARフィルターを導入してもらったところ、まったく異なる角度からのプロモーションを実現することができ、プロモーションの幅を広げることができ非常に良かったと感じています。
「みんなで同じ体験を共有して楽しめるツールなんだ」という驚き
篠崎様:
「AR」というものが世の中にあるということは、うっすらではありますが知ってはいました。
ですが、OnePlanetさんにARをご紹介いただいたときに初めて実際に体験させて頂いて、「みんなで同じ体験を共有して楽しめるツールがあるんだ」「これはおもしろいツールだな」と驚きました。お子さんからご老人まで簡単に遊べて楽しめる、新しい広告の形なんだなと思いました。
ジムマスターはキャラクターが多くいるブランドなので、何か一緒にできるのではないかなということを感じてARの導入を決めました。
ARの企画が生まれるまで
吉川様:
今回、ジムマスターでは、2つのARを制作しました。
一つは、「焚き火おじさん」という外を向けて楽しむ「アウトカメラ型」のAR。
もう一つは「MAKE SMILE」という自分たちの顔を向けて楽しむ「インカメラ型」のARです。
ジムマスターはポジティブなことを発信するブランドなので、もともとスマイル顔がたくさんあるTシャツなどを展開していました。
「そういったTシャツを自分たちの顔にはめて遊ぶっていう企画はおもしろいよね」という話になったことが、「MAKE SMILE」の企画が誕生したきっかけです。
「焚き火おじさん」の企画については、自分たちのブランドにいるそういったおもしろいキャラクターを使って、なおかつブランドのファンが多い「アウトドア」の要素をプラスして考えたときに「自分の目の前でキャラクターと一緒に焚き火ができる体験が良いのではないか」というアイデアが出て、この企画をやろうということになりました。
今もそうですが、コロナの影響でキャンプができず寂しい思いをしている方も多くいらっしゃったと思っています。コロナ禍で外出がしにくいタイミングで「ご自宅でもキャンプ場でもどこでも使っていただける焚き火のAR」をリリースできるということにも、スタート前からワクワクしていました。
インパクトのある焚き火おじさんを初めとして、当社はパッと見たときに目に留まるようなキャラクターを抱えています。
そういったキャラクターをARで展開すれば、これまでブランドを知らなかった人たちにも新たに興味を持っていただけるきっかけになるのではないかと考えていました 。
体験するユーザーの気持ちを考えてこだわったARのクオリティ
吉川様:
いざARの開発を始めてみると、当社が求めるクオリティにたどり着くまでには意外と時間が掛かりました。
焚き火のコマ数とおじさんの顔の表情のコマ数の違いからリアリティを感じられないなど、アニメーションのクオリティを出す難しさにも直面しましたね。
「より人間の自然な表情を演出したい」と考えていたので、テストで作って頂いたARフィルターを当社で何度も確認させて頂いていました。
炎が一番大きくなったときに一番驚いた顔をするという形にハメたくて、OnePlanetさんには一緒に何度も調整をしていただきました。
その驚いた顔がまた自然に普通の顔に戻っていくというループを実現したかったんです。
ただし、動画が長すぎるとユーザーさんの使うハードルが上がると思っていたため、なるべくコンパクトで自然に止まることを意識しました。
ARを撮影してストーリーに投稿することで参加できるキャンペーンを実施
想像以上にさまざまな方法で楽しんでもらえた
筋間様:
撮影してInstagramストーリーに投稿する際に、@gymmaster のメンションをつけてもらう形でキャンペーンを設計していたので、ハッシュタグのついた投稿を社内で共有できるようにしていました。
投稿された写真を見て感じたことは、人が写らずに家の中で撮れるものなので、さまざまなシーンで楽しんでもらっているなという驚きでした。
例えば、その人の家のお庭でARを体験したり、火が燃えているARなのでガスコンロのところで撮っていただいたり、家の中の階段で撮影したり。
他にもお人形などと一緒に並べておじさんを撮っていただいたりもして、ジムマスターで作ったARをすごくさまざまな形で楽しんで頂いているなという風に感じました。
これは本当に嬉しかったですね!
キャンペーンを実施する前は、家族と一緒にARを撮影したり、人が写らないように撮影したりするくらいかなと想像していました。
しかし、実際にはレコードの上だったりお人形と一緒に写ったり、本当にいろいろな遊び方ができるんだなということを痛感した瞬間でしたね。
また、もう一つ作成したARフィルター「MAKE SMILE」は、また焚き火おじさんとは違って人の顔が映るものです。
そのため、自撮りのような形で撮影する人が多いのかなと想像していました。
ところが、実際はご家族やお子さん、複数名でも撮影できるため、友達と一緒に撮ったり「その瞬間を一緒に共有して友達や家族と楽しんでいる」投稿をして頂いた方が多かったのかなと感じています。
分析レポートで見えた「ARによるマーケティング効果」
筋間様:
2つのARを実施した後に効果分析のレポートをいただきました。
内容を拝見したところ、「焚き火おじさん」は写真を撮影した後にシェアする方が多く、「MAKE SMILE」は自分の写真をシェアするよりも、むしろ自分のカメラロールに保存される方が多いということがわかりました。
このように、導入するAR、ユーザーに提供するコンテンツによって差が生まれるんだということには大変驚きましたね。
その場の背景を使って楽しむ「焚き火おじさん」と、顔が映るという「MAKE SMILE」の違いが出たことはとても興味深い結果ですし、そういった結果を使ってまた別の企画ができると思っています。
キャッチコピー「お家でキャンプ」がトレンドに乗った
和田様:
ARリリース後に広報部で工夫した点は、「キャッチコピー」です。
外出ができないゴールデンウィークの期間に重ねて、キャンプ愛好家のみなさんをファンに抱えるジムマスターから「おうちでキャンプ」というARをリリースできたことは効果を高めたと感じています。
キャッチコピーをそのタイミングのトレンドにうまくフィットさせることができたのは、ARの利用者を増やす上で効果的でした。
オリジナルコーヒーまで作製しARがファンとのコミュニケーションツールへと発展
和田様:
ARのキャラクターをベースにしたジムマスターのオリジナルコーヒーも作らせていただきました。
「焚き火おじさん」のARと「MAKE SMILE」のAR、それぞれのイラストを使って作製したところ、かなりファンには評判の良いアイテムとなりました。
毎シーズン、ジムマスターではファンのみなさまに向けて定期的に「ルックブック」をお届けしています。
そちらに今回制作したARフィルターの概要を記載し、このコーヒーを一緒に配布させて頂きました。
ルックブックとは
アパレルメーカーがシーズンごとに制作しているカタログのこと。 その中身は各シーズンのコンセプトやブランドイメージをもとにつくられ、そのブランドがメインとする商材が使用されます。
ARフィルターを導入してみた感想
吉川様:
率直に言えば、ARは新しいマーケティング手法でもあるためリスクも感じていましたが、チャレンジをして良かったと思っています。
リリースした2つのARはアカウントに永久的に残っていくので、一般的な広告商品とは異なり効果は今もなお継続しています。
そして、会社としてはこういったおもしろいARを制作したという事実がすごく重要だと思っています。
楽しいARでみなさんに遊んでいただくことで自然とブランドが活気づくと思いますので、ARフィルターを導入してみて本当に良かったと感じています。
<株式会社グランド・ワン様 インタビュー動画>
まとめ
日本で先駆けとなるInstagramのARフィルターを自社アカウントへ導入された株式会社グランド・ワンのみなさまに、AR導入の裏側をインタビューさせていただきました。
ARフィルターの開発には、今回のようにキャラクターの動かし方やルーレットが止まる速度など細かな技術的ノウハウが必要になります。
また、顔に向けるARカメラと外に向けるARカメラのそれぞれでマーケティング効果が違っており、「AR導入によりどのような課題を解決したいのか」という点について事前のすり合わせが大変重要になります。
「単にARを導入する」というだけでなく、効果的なARマーケティングを実施するためには、AR技術とARマーケティングの両面に精通したチームとのパートナーシップが非常に重要になります。
「ARマーケティング・ラボ」を運営するOnePlanetでは、国内でのAR普及よりも先駆けて数多くのARをリリースしてきており、どのようなARがどのような効果をもたらすのかというデータに基づいた知見を元に、効果的なARのご提案を可能にしております。
Instagramに問わず、各種ARの開発およびARを活用したマーケティングキャンペーン、ブランディングなどにおいて専門性を持ってサポートできることを強みとしています。
Instagramのビジネス活用をされているブランド・企業様や、ARを活用したいブランド・企業様の力強いパートナーとなりますので、お気軽にご相談ください。
下のリンクから、お問い合わせ以外にも当社の技術をご確認頂けます。