若年層に人気のSNSである「Snapchat」を運営するSnap Inc.は2020年6月11日に開催されたSnap Partner Summitで発表された新しい「Shoppable AR」というテクノロジーを使用した最初のキャンペーンを開始しました。
2020年6月29日(月)、ラグジュアリーブランドGucci(グッチ)のスニーカーをバーチャル試着できるSnapchat AR Lensesが発売されました。Gucciは、このテクノロジーを活用する最初のブランドになります。
この記事は、小売業界やブランドがARを活用してビジネスを加速させる次の一手を学ぶためのユースケースとしてGucciの事例を紹介していきます。
- Snapが新たにブランド向けに提供したテクノロジー「Shoppable AR」は消費者の購買を促す強力な導線になっている
- GucciとSnapの関係性は実は以前から温められてきたものでSnapのハードウェア開発にも関わってきていた
- 日本国内ではまだ馴染みのないARを活用したブランドの「ソーシャルコマース」は加速していくので注目すべき
Snapの「Shoppable AR」は購買に直結する
ラグジュアリーブランドGucciは、最新のシューズを2組ずつ試着できる2つのレンズを作成し、それぞれにグッチエース、グッチライトン、グッチテニス1977、グッチスクリーナーという合計4つのスタイルを作成しました。
Image Credit:Gucci
Snapchatのユーザーは画面上でシューズを選択し、スマートフォンのカメラを自分の足元に向けて、実際に試してみることができます。そして気に入れば、ARレンズから直接購買することができます。
SnapchatのShoppable ARテクノロジーでは「今すぐ購入」ボタンをクリックするだけですぐに購入できる点がブランドの販売に大きな影響を与えると考えられています。
グッチは昨年、ブランド化されたiOSアプリに拡張現実のAR試着機能を追加しています。これにより、消費者はスマートフォンのカメラ越しの自分の足に仮想的にスニーカーを重ねることができます。
GucciのAR技術に関しては、Snapchat上で足にシューズの視覚情報を重ね合わせるための、AR試着の機械学習モデルを強化しているWannabyと協力したと伝えられています。
ブランドのSnapは、これ以前から提携をしてきました。Snapのグローバル責任者であるGeoffrey Perez氏によると
昨年12月にリリースされたグッチポータルレンズや、限定版のグッチスペクタクルを始め、GucciとSnapは常にユーザーを没入型で魅力的な体験に導いてきました。
GucciとSnapの関係性とは
Snap社がもっとも注力しているテクノロジーの1つであるARグラス「Spectacles 3」では、Gucciとコラボした限定エディションまで発売されました。
SnapはARグラスを機能だけでなくファッション性の高いものでなければいけないと考えており、両者の関係性には深いものがあります。
Image Credit:WWD
今回のシューズ試着ARのSnapchatレンズについては、両社にまた新しい機会を提供します。
Snapchatにとってこのローンチは新しいARテクノロジーをブランドが商業化してくれた最初の使用事例となります。
グッチにとっては、若い世界中の消費者にリーチできる新しい方法となります。
ARを活用したブランドのソーシャルコマースは加速する
Snapによると、SNSアプリ「Snapchat」の米国ユーザーは、13歳から24歳の90%以上、13歳から34歳の75%以上を含む、米国人口の1億人以上に到達しています。
1億7000万人を超えるSnapchatterが毎日アプリのARを使用しており、毎日30回近く使用されています。
テクノロジーを活用する世界中のブランドは、この数値がオンライン上での消費者の購入をより多く推進すると信じています。
シューズの試着ARを使用すると、SnapchatユーザーはGucciの最新のスニーカーコレクションを履いているように感じられて、ユーザーはそのまま購入できるようになります。
私たちは、購入の検討から決定に至るまで、マーケティングの目標到達プロセスをさらに一歩進めることができています。これがソーシャルコマースの未来です。
とGeoffrey Perez氏は述べています。そしてもちろん、Snapのソーシャルコマースモデルで重要な要素技術は「AR」です。
GucciのARレンズは2020年6月29日(月)に発売され、米国、英国、フランス、イタリア、アラブ首長国連邦、サウジアラビア、オーストラリア、日本で発売されます。
まとめ
日本ではあまり馴染みのないSnapchat(スナップチャット)ですが、彼らは自社のことを「カメラ会社」と呼んでおり、カメラ越しの現実世界をバーチャルに彩っていくことは間違いありません。
日本においてもその影響力を延ばす可能性が十分にあります。
「ARマーケティングラボ」を運営するOnePlanetでは、Snapchatが提供しているようなブランド向けの特別なARエクスペリエンスを国内で先駆けて開発・提供しています。
ARのビジネス活用を検討していましたら、お気軽にご相談ください。
参考記事:Gucci Reveals Snapchat AR Shoe Try-ons
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