みなさんは、落書きってしますか?筆者は電話中や考え事をしているときなどに、つい意味なく落書きしてしまうことがあります。「自分はしない!」という方でも、小さいお子さんがいらっしゃるご家庭なら、日常的に落書きに触れる機会も多いかもしれませんね。
もし、なんの変哲もないただの落書きが、まるで生きているように動き始めたら……すごくおもしろいと思いませんか?そんな魔法のような夢を実現させてくれるARアプリが、2020年8月1日(土)にApp Storeで公開されました。それが、今回紹介する「らくがきAR」です!
画像引用元:App Store
リリース直後からSNSで瞬く間に拡散され、超話題となったこのARアプリ。さっそく試してみました!
目次
「らくがきAR」とはどんなアプリ?
らくがきAR(Rakugaki AR)は、株式会社Whateverが開発したアプリです。「”じぶんの描いたものに命を吹き込めたら…”という思いを具現化する」というコンセプトで開発されました。アプリの概要やどんなことができるのかについて紹介していきましょう。
ARの概要
「らくがきAR」は、自分が描いたらくがきをARで表示させることができるアプリです。2020年8月1日にApp Storeで公開された後、SNSを中心に拡散され、App Storeの無料&有料アプリ総合ランキングで1位を獲得したほど話題になりました。リリース直後は先着でダウンロード無料でしたが、2020年8月24日(月)現在は有料アプリとなっています(120円)。
リリース直後からSNSで話題になったこの「らくがきAR」ですが、実はこのらくがきARのプロトタイプ版が、「デジタルえほんアワード2019」の一般部門でグランプリを獲得しているのです。また、2020年8月1日にプレオープンを迎えた複合文化ミュージアム「角川武蔵野ミュージアム」では、「らくがきAR」が期間限定展示されています。とても幅広い層の人たちから注目されていることがうかがえますね。
自分が描いたらくがきに命を吹き込むことができるARアプリ「らくがきAR」の配信を開始しました!先着1,000名様限定の無料ダウンロードキャンペーンも開催してます🎉
本日プレオープンの「角川武蔵野ミュージアム(@Kadokawa_Museum )」でも展示中なので、お近くの方はぜひ!https://t.co/juJpZcyES6 pic.twitter.com/lioOkAVMl3
— Whatever Inc. (@whtevr_co) July 31, 2020
推奨動作環境
「らくがきAR」の推奨動作環境は次のとおりです。残念ながら、Androidでは対応していません(2020年8月24日現在)。
- iOS12.0以上
- iPhone・iPadで動作
スマートフォンのセンサーやカメラを使いますので、できるだけ明るい環境で楽しんでくださいね。
らくがきARの遊び方
らくがきARを楽しむのに必要なのは、自分で描いたらくがきです。操作はとてもシンプルなので、小さなお子さんでも楽しめますよ。
- 自分のらくがきを用意する
- アプリでらくがきをスキャンする
- らくがきがARとなって飛び出してくる
- らくがきARで遊んでみる
- 複数のらくがきを同時認識させてみる
ステップ①:自分のらくがきを用意する
まずは、らくがきをしてみましょう。スケッチブックやノートはもちろん、タブレットなどでもOKです。画面内の「?」ボタンはヘルプボタンになっており、アプリ内の説明が出てきます。
遊びやすいらくがきのコツがあるようですので、これを踏まえて絵を描いてみましょう。
- 白い紙の上に描く
- 小さすぎたり大きすぎたりしない大きさ(カメラで無理なく映せるくらい)
- 外側の線をつなぐ
- 外線を黒くする
とりあえず、スケッチブックにらくがきしてみました。筆者が手持無沙汰のとき、ついノートやメモ帳に描いてしまうらくがきです(絵が下手なのはご容赦ください……)。
ステップ②:アプリでらくがきをスキャンする
らくがきが用意できたら、「らくがきAR」を起動し、利用規約とプライバシーポリシーに同意します。端末のカメラや写真を利用するので、ポップアップが出てきたら許可してください。
次に、平らな場所を探してカメラに入れて、ゆっくり動かします。広いテーブルの上がおすすめです。
平らな場所を検出すると、こんな画面に切り替わります(横にしました)。
白枠矢印の「うえ」に、らくがきの上がくるようにセットします。らくがきの回りが赤い枠で囲まれまたら、「スキャンボタン」を押します。
もしうまく認識できない場合は、次のポイントを確認してください。
- 明るい部屋でやってみる
- らくがきはテーブルなどの平らなところに置く
- らくがきのやや斜め上からかざしてみる
らくがきを壁のように立ててしまうと認識しませんので、注意してくださいね。
ステップ③:らくがきがARとなって飛び出してくる
らくがきが認識されると、ARとなって飛び出してきました!
手足と頭のはっぱ部分をパタパタさせながら、テーブルの上を歩き回っています。ARとして飛び出てきたらくがきは、段ボールに貼り付けたような質感です。ちゃんと段ボールの断面が再現されていますね!
ステップ④:らくがきARで遊んでみる
AR化したらくがきは、つついてちょっかいを出したり、エサをあげたりできます。
画面をタップすると、リンゴ・バナナ・ニンジン・サカナ・チーズがランダムで現れ、らくがきがパクパク食べにいきます。食べかすまで飛び散るあたりが妙にリアルです。
食べ過ぎると粗相をします……
ちなみに、動物のらくがき以外でもエサを食べさせることができます。
ヤバい、らくがきARで数年前に描いたムーヴカスタムの落書きでやってみた。ムーヴカスタムがリンゴ食べたわ。ウケる😂 pic.twitter.com/TOeJx0OKd9
— 素直じゃない瑞風右京+αほぼ放置中 (@mizukaze_ukyou) August 24, 2020
つついてみると、勢いよく飛んでいってしまいました。飛んで行った先で、パタンと倒れています。動きのバリエーションが細かくて、本当に生きているみたいです。
ステップ⑤:複数のらくがきを同時認識させてみる
一度に認識できるらくがきは1つですが、何度も認識させることでたくさんのらくがきを登場させられます。認識させ続けると、どんどんAR化して登場します。
作業台の上が、動き回るらくがきでいっぱいに……。
筆者はiPhone8で試してみましたが、10体くらい発生させても特に認識遅延などは起こりませんでした。ただし、これ以上数を増やしたり、もっと複雑ならくがきだったりした場合、動作がカクつく可能性がありそうです。
【検証】どんなイラストで認識するのかやってみた
ここからは興味本位で、らくがきを認識する条件・しない条件を試してみました。知人にお願いして、新たにタブレットに描いたゆるいらくがきを用意しました。まずは、こちらの黒い枠で囲ったらくがきです。
特にストレスなく認識できました。
次は、らくがきの主線をなくして、体と同系色にしてみました。
こちらも問題なく認識できました。
次に、背景は白のままで、らくがき全体を明るい黄色に変えてみました。この明るさになるとまったく認識できず、スキャンできませんでした。
最後に、背景を黒にして明るい黄色の状態でやってみました。こちらもうまく認識できませんでした(写真では編集画面が出てしまっていますが、フラットな状態でも認識しませんでした)。
背景が白の状態で、かつらくがきの一番外側の線が背景とメリハリがついていれば、黒で囲わなくても認識してくれるように感じました。
遊んでみた感想
「スマートフォンのARがここまで進化したか!」とすごく驚きました。らくがきARの前から、スマートフォンで楽しめるお絵描き系ARはいくつかありました。たとえば、塗り絵ARは商品とのコラボやイベントでよく用いられています。塗り絵のとおりに3Dキャラクターに色がつき、アニメーションするARです。
従来のおえかき系ARは、すでに用意されたコンテンツに自分が+α(アルファ)する、というものがほとんどでした。しかし、今回の「らくがきAR」は、自分のコンテンツがそのままAR化し、しかも勝手に動き出す点が大きく異なります。
CGを動かすにはボーン(骨)と呼ばれる骨格が必要ですが、AR化した時点でらくがきの形をきちんと認識し、ボーンを自動生成しているかのように見えます。もちろん、らくがきの内容によっては若干動きや形が不自然になることもあります(上記の落書きも、よく見ると左足に少し歪みが見られますね)。しかし、動きの精度はかなり高く、楽しむARとしての機能は十分に果たしています。
また、「らくがきAR」は現実との融合感が飛躍的に向上しているように感じました。ぴょこぴょこ歩き回っている様子も、まるで本当にキャンパスの上を歩いているようです。2017年に公開された「AR Kit」により、精密な空間認識ができるようになったからでしょう。
コップなどをよけて歩いていくのは、空間認識をして奥行を計測しているからでしょうか?先述の塗り絵ARは2014年頃の事例ですが、技術の進歩に驚きを隠せません。デジタルとアナログ、現実と仮想がここまでシームレスにつながる時代になったんですね。
なお、こちらでは「らくがきAR」開発者のインタビューが読めます。開発経緯が記載されていてとてもおもしろいです。らくがきARの今後の展望も書かれています。
まとめ
「らくがきAR」は、デジタルの最新技術×アナログならではのおもしろさ・楽しさを融合させたアプリとなっています。お絵描きが好きなら、大人も子どもも間違いなく楽しめます!スマートフォンのAR技術がもっと進化していけば、ゲーム性を持たせてバトルや育成を楽しむといったこともできるようになるかもしれませんね。