2020年2月、GPSの機能を超えた位置情報技術に取り組んでいるイギリス・ロンドンを拠点とするコンピュータービジョンのスタートアップであるScape TechnologiesがFacebookに買収されました。
その買収について解説していきます。
買収額は40億円超
画像引用元:Scape Technologies
契約に関する詳細は明かされていない部分もありますが、Facebook Inc.はScape Technologiesの過半数を支配するようになった(75%以上)ことが明らかになりました。
株式発行を含む他の提出書類を見ると、価格は40億円以上(約4,000万ドル)になる可能性があると示しています。
また、買収以前のラウンドでScape Technologiesに出資していたベンチャーキャピタルの代表は取締役会を辞任し、代わりに2人のFacebook幹部が参画しました。
Scapeの支援者には、Entrepreneur Firstに加えて、次の3社が含まれていました。
- LocalGlobe
- Mosaic Ventures
- Fly Ventures
注目すべきことは、「Entrepreneur First」と「Fly Ventures」の2社は、Facebookが2018年にイギリスの自然言語処理AIのスタートアップである「Bloomsbury.AI」を買収したときにも同じく出資先だったことです。
彼らは過去すでにFacebookへのExitの経験を有しているのです。
Scape Technologiesの技術
2017年に設立されたScape Technologiesは、コンピュータービジョンに基づくVPS(Visual Positioning Service※)を開発してきました。
これにより、開発者はGPS単独で出せる精度をはるかに超える位置の正確さが求められるアプリの構築が可能になります。
当初、このテクノロジーはAR(拡張現実)アプリを対象としていましたが、モビリティ、ロジスティクス、ロボット工学より広範にカメラを装備したすべてのマシンがその周囲を理解できるようにしたいとScape Technologiesは考えていました。
Scape TechnologiesはのCEO兼共同創設者であるEdward Miller氏は、Scape Technologiesはの”Vision Engine”は、通常の画像やビデオから3Dマップを生成し、大規模なマッピングを実現する手段として以前に説明しました。
カメラデバイスでは、VPSのAPIを使用してビジョンエンジンにクエリを実行し、GPSが提供できるよりもはるかに高い精度で正確な位置を特定できます。
VPSは、開発者にScapeのSDKを介して選択することを可能にしました。
VRやARを含む次世代プラットフォームへの米国企業の投資を見ている中では、Facebookによる買収は特にうまくフィットしているように見えます。
また、米国のテクノロジー企業が英国の機械学習とAIの才能を早期に見出し、自分たちの強化に充てている事例でもあります。
GPS(Global Positioning System)が地球の位置を特定するのに対し、VPSはスマートフォンやスマートグラスのカメラで得た画像から生成した3Dメッシュを用いて向きや方位を含む高精度な位置情報を特定する技術を表します。
まとめ
ロンドンに拠点を置くコンピュータービジョンのスタートアップ「Space Technologies」のFacebookによる買収について解説しました。
ARは、CG映像やバーチャル情報を現実世界に重ねて表示させる技術です。
その社会実装には、現実世界に紐付いた物体まで含めたあらゆる情報の正確な認識が必要です。
そして、GPSによる位置情報の特定は精度が不完全であるため、現実世界の物体やその位置を正確に把握できるVPS技術が注目を集めています。
今回のFacebookによる買収は、コンピュータビジョンに基づくVPS技術の獲得が目的だったと言えるでしょう。
より正確な位置情報の認識を実現するプレイヤーは、次の時代の覇権を握るためには極めて重要です。
Facebookに限らず、Apple、Googleをはじめとした世界のテックジャイアントは覇権争いを繰り広げています。
私たちOnePlanetも正確な位置情報の把握を通じた新たな価値創造にチャレンジをしていきます。
ご興味のある企業様は、ぜひお気軽にOnePlanetの問い合わせページからご連絡頂ければ幸いです。
参照記事:Facebook has acquired Scape Technologies, the London-based computer vision startup