2022年4月、人気の動画アプリ「TikTok」が新しいAR広告制作ツールをついにリリースしました!
TikTokは昨年の8月から、インスタグラムやSnapchatに並ぼうと、ARを活用した広告製品の開発を急ピッチで進めていました。
先行して公開されてきたクローズドベータ版では、現在までに450人以上のエフェクトクリエーターがTikTokにエフェクトを公開し、世界中で6,000億回以上の再生回数を獲得しているとのことです。
今回の記事では、そもそもAR制作ツールとは?という基本情報から、TiktokのAR広告およびAR制作ツールについて紹介していきます。
目次
前提|SNSのAR制作ツールとは?
Instagramや、SnapchatのオリジナルAR制作ツールの存在はご存知でしょうか?
これらはInstagramやSnapchatなどのSNSに、自分達で制作したオリジナルARをリリースできるようにする「ARクリエイター向け」の新ツールです。
LINEスタンプのように、企業やブランドのオリジナルARを制作することができ、かつスタンプと違ってARにより様々な動画の撮影体験を拡張できるため、SNSマーケティングにおいて新しいトレンドになっています。
Meta社が提供する「Spark AR Studio」を使用すると、Instagramストーリーで使用できるARフィルター提供することができます。
Instagramのストーリー機能での撮影体験をリッチにできるため、ARを使ったユーザーの投稿(UGC)が生まれやすく、ブランドのプロモーションが従来の広告商品よりも自然な形で実施できます。
すでに国内でも多くの企業やブランドに利用されており、今後もますます普及していくことでしょう。
Snapchat
国内ではユーザー数が少ないですが、Snapchatを運営するSnap社はARにおける世界的なリーダーの1社です。
米国を中心に海外ではZ世代から高い人気を誇るSNSで、その背景にはInstagramのストーリー機能のように投稿が時間限定で消えてしまう気軽さと共に、ARを使った撮影の楽しさがあります。
同社はMeta社よりも先行してARに投資してきた会社なので、彼らが提供する「LensStudio」はInstagramよりもさらに高度なさまざまなARを独自に開発することが可能です。
ARフィルターで写真や動画を様々に加工できるチャット機能は同社の強みとなっており、「高齢になるARフィルター」「性別が変わるARフィルター」「ディズニーやピクサーのキャラクターになれるARフィルター」など、そのユニークな撮影体験はSnapchatが使われていない日本でも、たびたび話題を集めていますよね。
国内ではそこまでメジャーではないSnapchatですが、Snapについては以下の記事に詳しくまとまっているので興味のある方はご覧ください。
参考:Snapchatって何?基本情報から歴史、Facebookとの戦いまで
これまでのTiktokのAR広告
ここからはTiktokのARについて解説していきます。
①ブランデッドエフェクト(Branded Effect)
InstagramやSnapchatのように誰でもARを制作できる「AR制作ツール」をリリースする前に、Tiktokではまず「Tiktok社がARを制作する」という形でAR広告を先行して商品化していました。
そのAR広告商品を「ブランデッドエフェクト(Branded Effect)」と呼んでおり、昨年から提供を開始しておりました。
米DIGIDAYによると、こうしたエフェクトの利用にかかるコストは10万ドル(約1,072万円)で、TikTok社内のクリエイティブチームによって制作したと報告しています。
印象的な動画を撮影できるようなAR機能が提供されていましたが、金額が非常に高価になってしまう点がデメリットでした。
②TikTok Effect House(ベータ版)
Tiktokは誰でもARを制作できる「AR制作ツール」として2021年8月に「TikTok Effect House」のベータ版をリリースしました。
これによりInstagramやSnapchatに遅れをとっていたAR制作ツール領域への参入を表明しました。
TikTokの広報担当者は次のように話しています。
「我々は常に、コミュニティにクリエイティビティと喜びをもたらす新たな方法を探求している。クリエイティブ効果は、ユーザーが自己表現をする楽しい手段であり、ブランドにとってはブランドのクリエイティブ効果でキャンペーンにインタラクティブ要素を追加できる。我々は、ブランドのためにこの価値ある体験を継続できる方法を試行し、それができたときには詳細を共有するつもりだ」。
2021年時点ではまだプライベートベータ版で、米国をはじめとした一部の国でのみ利用可能となっていました。
TikTokはツールを”実験的なもの”と称し、正式リリース時期は未定でした。
TikTok is launching an Effects Studio in beta
h/t @Sam_Schmir pic.twitter.com/K3LS5S2Yoq
— Matt Navarra (@MattNavarra) August 14, 2021
SnapchatやInstagramといったライバルのSNSに続くAR導入に向けた動きであり、「TikTok」のAR広告には多方面から注目が集まっていました。
そして、2022年4月にこれまでベータ版だった「Effect House」がついに公開されました。
Tiktok「Effect House」が公開
そして、満を辞して2022年4月、Tiktokは他のSNSに追従するAR制作ツール「Effect House」をリリースしました。
現在までに、450人以上のエフェクトクリエーターがTikTokにエフェクトを公開し、15億本以上の動画の作成を促し、世界中で6,000億回以上の再生回数を獲得しているとのことです。
拡散性の高いSNSであるTiktokと、拡散性の高いARの組み合わせは可能性が大きく、導入したい企業やブランドは増えていくことでしょう。
誰でもARを簡単に制作できる一方で、完全に自由というわけではなくガイドラインもあります。
ガイドライン
たとえば美容整形を促すようなARなど、InstagramやSnapchatでもガイドラインとして設定されているプラットフォームが推奨しないARの使い方はできない仕様になっています。
ARにおいて、リリースできないようなトラブルはつきものです。
どのような形であればARが使えたり、使えなかったりするのかという点は非常にセンシティブなので、ARを扱う際には専門性の高いパートナーと共にしっかりと取り組むことが重要でしょう。
TiktokのARのガイドラインはこちらより
クリエイターコミュニティ
これはSnapchatやInstagramと同じですが、ARを制作するクリエイターのコミュニティを支援する側面もあります。
おもしろいARが生まれることでプラットフォームそのものが盛り上がるため、Tiktok側としてもオフィシャルにクリエイターを応援しています。
以下のクリエイターは、Tiktokが「Effect House」の公式リリースに伴って発表したARクリエイターの皆さんです。Tiktokのように大きなプラットフォームが公式に応援してくれるのは、クリエイターとしてはとても嬉しいことですよね。
Laura Gouillon、@ lauragouillon
Balraj Bains、 @ blahblahbalraj
ARの使い方・探し方
TikTokの動画でエフェクトをタップし、エフェクト作成者のページへと遷移すると、そのARがエフェクトハウスで作成されたものかどうかがわかるような導線になっています。
ARを使って動画を撮影して投稿をすると、エフェクトの名前の下にそのARエフェクトを作成したユーザー名も表示されます。
これにより、ARのクリエイターは自分の認知度やフォロワーを獲得できるような仕様にもなっています。
TiktokのAR技術とブランドとのコラボレーション
ここからは代表的なAR機能やTiktokのAR技術、そしてブランドとのコラボレーションについて紹介します。
主なAR機能はTiktokの撮影に最適化
以下のARは「ハンドジェスチャー」と呼ばれるARのサンプルです。指先から雷やスイカが出てくるAR、Tiktokの撮影で楽しく使われそうですよね。
早速、本日ベータ版が公開されたTikTokのAR開発ツール「Effect House」を使って、
ハンドジェスチャーのサンプルを動かしてみた!
実機プレビューまで、スムーズにいけた! pic.twitter.com/OQy7RzEAXT
— IVAN@AR × Marketing (@van_eng622) April 13, 2022
Tiktokの「Effect House」で作れるものの詳細は改めてこれからも本メディア「ARマーケティングラボ」で詳しく紹介していきたいと思っていますが、おおまかに整理するとTiktokが現在対応しているARは「顔」「手」「全身」の3つの機能です。
他のSNSと異なり、よりTikTokのユーザー層に最適化して撮影体験が楽しくなるような手のジェスチャーや全身トラッキングに注力していることが見て取れます。
また、以下は2021年に先行公開されていたTiktokのARのベータ版での「LiDAR」という最新技術を活用したARの事例です。
このように最先端のARテクノロジーが使われてきていました背景もあり、TiktokのARでもInstagramやSnapchatのような最先端の技術を使ったユニークなARが作れるようになることに期待されます。
iPhoneのLiDARにも対応
TikTokでは新しいiPhone12proから搭載された「LiDAR」というセンサーを使ったARを2021年の新年に公開しています。
動画を見ると、テーブルや床、人物など空間全体を認識していることがわかりますよね。
TikTokが、2021年の幕開けと共にiPhone 12ProのLiDARを使った最初のARフィルターをリリース。
LiDARをうまく使ったAR、ますます増えてきますね。
TiktokのARの展開もこれから楽しみ。pic.twitter.com/pC7Y2mEcWk
— Murakami@OnePlanet (@can_murakami) January 8, 2021
このように従来のARでは体験できなかったようなバーチャルとリアルが融合したAR体験が、AR制作ツールの中で作れるようになるかもしれません。
TiktokのARとブランドのコラボレーション
TiktokはARを切り口にブランドとのコラボレーションも実現しています。
タカラトミーは、2022年に発売した「ARヨーヨー」でTikTokと連携したプロモーションを実施しています。
このARヨーヨーは、電動モーターが内蔵されたヨーヨー本体だけでもさまざまなトリックが楽しめるようになっていますが、そこに加えてスマホ専用アプリ(Android版・iOS版)をインストールしてヨーヨーにかざすと、ヨーヨーの動きに合わせてARが表示されるようになっています。
そしてさらに、アプリで撮影・保存したARの映像が、そのままTikTokに直接投稿できるようになっているとのこと。
このように専用アプリとTikTokが連携したおもちゃは、日本ではこれが初めてとのことで、ARとTiktok、ブランドがコラボした事例として非常に面白いですよね。
こういったブランドとTiktokのコラボはこれから、独自のAR制作ツールを通じてますます増えていくことでしょう。
まとめ
ARを組み合わせたSNSマーケティングは安いコストで活用でき拡散力が高いことから、費用対効果も期待できる手法です。
簡単なARであれば自分達でも制作することもできますが、ある程度リッチなものについては高い専門性が求められるため、パートナーと共に取り組むことが確実でしょう。
本メディア「ARマーケティングラボ」を運営するOnePlanetでは、ARエフェクトの開発、ARを活用したキャンペーン拡散やブランディングにおいて、様々な業界での多数の実績を有しています。
また、近年話題のメタバースやNFTに関連した最先端のソリューションも提供しています。
ARやメタバースのビジネス活用を検討していましたら、お気軽にご相談ください。
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