日常のふとしたときに「ここからここまでの長さが知りたいな…」というときってありませんか?そんなときに限って、都合よくメジャーやものさしなんて持ってないんですよね。
そんなときに便利なのが、ARメジャーです!ARメジャーとは、スマートフォンやタブレットで使えるアプリです。最近はスマートフォンやタブレットでARを気軽に楽しめるようになり、ARを使ったゲーム・販促・エンタメ系のアプリは増えています。
しかし、実は日頃の生活を便利にできるARアプリも増えているんです。ARメジャーもその一つと言えるでしょう。今回は、ARメジャーとはどんなものなのか、また仕組みについて紹介します。
目次
ARメジャーとは?
ARメジャーとは、スマートフォンやタブレットなどのカメラで映っているモノの長さを瞬時に計測できるデジタルメジャーです。長さはスマートフォンのカメラ画面内にARで表示されます。
精度にはスマートフォンのカメラやセンサー・アプリ・撮影環境によって若干の誤差があるものの、おおまかな長さなら定規やメジャーがなくともすぐに計測できます。普通のメジャーだと長さを測った後にメモを取る手間がありますが、ARメジャーであれば、スクリーンショットを撮っておけるので記録もしやすいメリットがあります。
たとえば、家具を買いに行ったときにサイズをはかったり、引っ越しや住宅内見の際に家具設置場所の広さを確認したりする際にARメジャーを使えば、長さと共に商品や現場の状況を一緒に記録しておけるので便利です。
ARメジャーの仕組みとは?
ARメジャーの仕組みには、ARフレームワークが大きく関係しています。ARフレームワークとは、ARアプリ開発に便利な仕組みのことで、スマートフォンやタブレット向けのARアプリ制作をより気軽に作成できるようになりました。
AppleはiOS向けのARフレームワーク「AR Kit」、GoogleはAndroid向けのフレームワーク「AR Core」をリリースしています。
ARフレームワークを使うことで、スマートフォンやタブレットのカメラで映した情報と、端末のモーションセンサーからの情報を統合できます。これにより、ARアプリにおいて重要な現実の認識精度が飛躍的に上昇しました。
ARメジャーアプリもこのARプラットフォームの機能で、カメラで映している現実世界の距離をリアルタイムで計測し、ARとして長さを表示させています。
ARメジャーを実際に使ってみた
もっとも定番のARメジャーアプリとして、OSに標準で入っている「計測」アプリが挙げられます。そのほかにもARメジャー機能を持つアプリはたくさんあるので、有名なものをご紹介します。
アプリによって、シンプルな長さ計測以外の機能がついているものもあります。3つピックアップして紹介しましょう。
- iOS標準ARメジャーアプリ「計測」
- Air Measure
- HakaruAR
iOS標準ARメジャーアプリ「計測」
「計測」アプリは、AR kit2のアップグレードに伴ってリリースされています。AR Kit2はiOS12でないと使用できません。
iOS12は2013年に発売されたiPhone 5s以降のモデル(iPhone SEを含む)に対応しているため、「計測」アプリは幅広いiPhoneで使用できるといえるでしょう。使ってみましたが、非常にシンプルな操作で簡単に長さを測ることができました。
このアイコンをタップすると、カメラモードが起動します。
カメラモードになってノートパソコンを映してみると、すぐにすぐにノートパソコンをグリッド線が囲って認識しました。
「長方形を追加」をすると、縦・横の長さがすぐに表示されました!
何度かやり直してみたところ、幅2cm、縦1cmほどの誤差があります。
+をタップして「点」を追加すると、そこを起点にして距離を測ることもできます。
なお、この計測アプリには水準器もついており、傾きの確認も可能です。スマートフォンの傾きを自動的に検知しており、家具の高さ調整などの際にきちんと水平が取れているかすぐ確認できます。
計測アプリのくわしい使い方は、この動画でも確認できます。
いろんなものを瞬時に計測できる「Air Measure」
優れたARメジャーとして有名なアプリに「Air Measure」があります。iOS標準の「計測」アプリに比べ、長さを測るときにメジャーが伸びるアクションが分かりやすくて直感的です。まるで本物のメジャーで測っているようなリアルなAR体験ができます。
Air Measureには、通常のメジャーのような長さを計測する以外にも、計測に関係するさまざまな機能を搭載しています。
- 壁の高さを測る
- 人の顔を指定して身長をすぐに計測できる
- 家具の配置シミュレーションができる
壁や身長はモノを測るよりも高さがあるにもかかわらず、すぐに測れるのはすごいですね。やや誤差が出やすいというレビューがありますが、計測するものに対して垂直にカメラを立てるのがうまく測るコツです。カメラを斜めにしてしまうと、センサーとカメラのデータ処理がうまくいかず、計測結果に誤差が出やすくなってしまいます。
AR Kit3対応の「HakaruAR」
便利で精度が高いARメジャーアプリとして、「Hakaru AR」もよく知られています。
天井のエアコンの長さと面積をリアルタイムに計測していることがわかりますね。HakaruARは業務向けのエンタープライズ版の提供もしており、通常の距離測定以外にもさまざまな機能があります。
※iOS版・Android版共に配信されていますが、搭載されている機能が異なっています。
- 複数距離の測定
- 面積の測定
- 水平・垂直計の配置
- 3Dスキャンモード※
- 置いて測る機能
3Dスキャンモードは今いる場所を立体的にスキャンできる機能ですが、Android版のみの機能です。2019年にAR Kitがアップデートされ、「AR Kit3」になりました。
Hakaru ARも AR Kit3に対応することで、新機能「置いて測る」機能が搭載されました。置いて測る機能とはARで立方体を出現させ、高さや幅を変えながら、辺の長さや体積を計測する機能です。これにより、従来の測定機能では測りづらかった立体物の奥行も計測しやすくなりました。
画像引用元:iDEACLOUD/AR
実は筆者は実物のメジャーできちんと長さを測るのがめんどくさくて苦手なのですが、これは直感的に操作できるためわかりやすいです!ARらしさを活かした、とても近未来的な計測方法と言えるでしょう。
ARメジャーアプリ事例
計測機能を持ったアプリは、メジャー以外にもさまざまな分野で使われています。実際の事例を紹介します。
- ソーシャルディスタンス計測アプリ「Keep Distance Ruler」
- ヤフオク!アプリ
- ニトリ公式アプリ
ソーシャルディスタンス計測アプリ
新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、ソーシャルディスタンスを保つことが推奨されています。スマートフォンの計測機能を使い、自分のいる地点を中心とした円の直径をARで表示できるアプリが多数出ています。専用アプリをダウンロードせずとも計測できるブラウザARも多数出ています。
有名な事例の一つとして、クリエイティブ集団「PARTY」のアートディレクター・寺島圭佑氏が制作した「Keep Distance Ruler」があります。専用ページにアクセスし、ARモードを起動して地面を認識すると、白い円と共におおよその距離が表示されます。
足跡マークを中心に、直径50cm、100cmの表記が登場します。
ソーシャルディスタンスの為に2メートルの距離を測る
AR定規つくってみた
リンクからiPhoneにダウンロードしておけば、どこでも距離を測れますKeep Distance Rulerhttps://t.co/vyiBdDDB8s#社会的距離 #SocialDistancing #c4d #cinema4d #AR #ARKit #COVID19 #KeepDistance #コロナ #3DCG pic.twitter.com/2nBwk5Gken
— Keisuke Terashima #KeepDistanceRuler (@kskee) April 7, 2020
このブラウザARは、「コンビニやスーパーなどでソーシャルディスタンスが十分にケアされていない」と感じられたことから開発されました。いちいちAppStoreからダウンロードせずとも必要なときにすぐに確認できるのが、ブラウザARならではのメリットと言えますね。
ヤフオク!アプリ
ネットオークションで商品を売買する人が増えました。自分が出品者となった際に手間なのが、商品の梱包です。発送方法が多すぎてなにを選んでよいか迷ったり、サイズを測るメジャーが手元になくてどんな大きさの箱を用意したら良いのかわからなかったりといった悩みを抱える人が多いのです。
ヤフオク!アプリでは、出品者が配送方法を選択する時に、商品をカメラでかざしながら簡単に選択できる機能が追加されています。
画像引用元:Yahoo! JAPAN Tech Blog
出品フォームから配送方法選択画面の「カメラで選択」をタップすることで、梱包に必要な箱の大きさをARで表示できます。数字をタップするだけで箱の大きさを変えられます。
発送しようとしている商品と重ね合わせながら箱の大きさを計測できるので、とても便利ですね。その箱の大きさに対応した発送方法も表示されるので、どの方法で発送するのが一番お得かどうかもすぐにわかります。
ニトリ公式アプリ
メジャーが一番必要なシーンとして、家具を購入するときが挙げられますよね。家具のサイズはもちろんですが、家の中で設置を考えているスペースの広さを測りたい、というときもあるでしょう。
家具・インテリアメーカーのニトリ公式アプリ内でも、ARメジャー機能が導入されました。アプリ内から「サイズWithメモ」を選び、AR機能を選びます。
カメラモードが立ち上がり、しばらく動かして計測させたい面を認識させます。暗い場所や白い壁ではうまく認識できないので注意が必要です。
平面を認識するとポイントが○に変わるのでタップします。
測りたいところへカメラを移動させることで計測できます。他のアプリに比べると文字が少し見づらいですが、操作性はほとんど変わりませんでした。
家具の配置場所だけでなく、廊下や階段の幅などを計測しておけば、家具搬入の際に問題ないか確認できますね。
まとめ
ARメジャーアプリの機能説明や事例を紹介しました。ARメジャーは、カメラに映したモノの長さをリアルタイムで計測できるアプリです。メジャーがなくてもスマートフォンでさっと距離を測れるので、とても便利です。計測結果には数cm程度の誤差が生じることはあるものの、その精度はARプラットフォームの進化により向上しています。
アプリの機能によっては、長さの計測以外にもさまざまな機能を搭載しています。紹介した以外にも多くのARメジャーアプリがリリースされているので、いろいろと試してみるとおもしろいですよ。
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