ニューロテック(ブレインテック)とは、脳科学とIT技術を組み合わせて実用的なサービスに発展させる領域です。
一例としては、頭に装着したハードウェアから脳の電子信号を読み取り、その電子信号を活用して全身麻痺の人でも他者とのコミュニケーションを実現できるなど、様々な活用方法に期待されています。
脳を研究する学問である脳科学を応用し、近年ではその研究成果とIT技術を組み合わせることで近年ではより実用的なサービスにまで発展しつつあります。
そしてニューロテックは将来的に、言葉を発せずとも考えていることをテレパシーのように伝達できるなど、マトリックスのような世界を実現しうる可能性を秘めた技術として注目を集めています。
この記事では、ニューロテックについて基礎的な解説と、その実用例について解説していきます。
ニューロテックとは
ニューロテックとは、脳のニューロンから言葉をとったもので、脳科学を活用したテクノロジーやサービスの総称です。
脳(Brain)とテクノロジー(Technology)を組み合わて、「ブレインテック」と呼ぶこともあります。
近年はその技術研究が著しく進んでいる分野であり、注目が高まっています。
「脳の働き」を明らかにする研究だけでなく、その研究成果とIT技術を組み合わせたサービス開発の段階にまで発展してきており、すでにこれまでに無かったさまざまなサービスが生まれています。
ここからは、具体的な応用事例について紹介していきます。
応用例①SFのような世界を実現する技術「BMI」
ブレインテックの中でも特に注目されている技術分野として、BMI(ブレインマシンインターフェース)という技術があります。
これは、脳とさまざまな情報通信機器をつなぐ技術のことです。
イメージとしては、「言葉を発さずに思ったことを伝える」「考えただけでモノを動かせる」といったテレパシーのような体験を実現できると考えられています。
まさにマトリックスなどのSF映画の世界ですね。しかし、これは遠い未来の話ではありません。
こちらの動画は、2019年に米国で実際にBMIを活用した事例です。
半身不随の患者の脳に電極を接続し、脳信号をコンピューターに送ることでコミュニケーションを取る試みがYoutubeで公開されて、大きな話題になりました。
応用例②ARグラスとの繋げる試みSnap × NextMind
2022年の3月に、Snapchatで有名なSnap社はニューロテックのスタートアップである「NextMind」社を買収しました。
NextMind社は、以下の画像のように頭の後ろに装着する独自のハードウェアを通じて脳から電子信号を読み取り、その電子信号を活用してコンピューター上に表示する画像データを制御するサービスを提供しています。
脳からの電子信号を活用して、それを画像データに反映させるということは、先述の「BMI」のように頭で考えていることをそのまま視覚化させるようなことができそうです。
そして同社を買収したSnap社は、もともと独自にARグラスを開発しています。
ARグラスとニューロテック
今回の買収でSnapは、長期的にARグラスの研究にNextMindのテクノロジーを取り込んでいくと公表しています。
これは脳から取得できる電子信号を通じて、ARグラス越しに表示させる情報を調整したり、コントロールしたりしようという試みを進めていくということでしょう。
ARグラスで目の前にバーチャルな情報を出せる世界は、VRで先行しているメタバースの現実世界版とも言える世界です。
メタバースのようなバーチャルとリアルが入り混じった世界に加えて、さらにそれらを脳内の思考だけでコントロールできるようになるとしたら?
それはまさにSF映画のような世界が実現されるようで、少し不安や怖さもありつつ、非常に楽しみな分野ですよね。
このSnapの買収については、以下の記事をご参照ください。
参考:Snapがパリのニューロテック企業「NextMind」を買収、ARハードウェアを強化
まとめ
この記事では、ニューロテック・ブレインテックの基礎的な解説・実用例と、ARやメタバースとのつながりを簡単に解説してみました。
本メディア「ARマーケティングラボ」を運営するOnePlenetは、ARグラスやメタバースなど新技術を活用した様々なAR関連サービスを展開しています。ご興味のある方は、お気軽にご相談くださいませ。
そもそもSnapchatって何?という方は、以下の記事にその歴史などがまとまっています。
参考:Snapchatって何?今さらだけど気になる人のために考察まとめ記事を書いてみたら、Facebookとの戦いの歴史だった