
近年、「VR(仮想現実)」と並んで注目されている最先端技術が「AR(拡張現実)」です。
私達の身近なところでは、主に「SNOW」や「Instagram」といったスマホアプリに利用されており、不動産や医療などの現場でも積極的な活用が見られます。
ただ、「AR」という単語自体は知っているものの、具体的に何のことなのか、機能面についてよくわかっていない方も多いものです。
そこで今回は「AR」(拡張現実)について、機能の詳細や身近に使われている活用事例などについて具体的に解説しています。
- ARとは何か
- どのような分野での活用が期待されているのか
- 身近で体験できるスマホアプリはあるのか
目次
ARとは「拡張現実」のこと
ARとは「Augmented Reality」の略称で、日本語に訳すと「拡張現実」という意味です。
「拡張現実」は現実世界の情報にデジタル情報(映像や3Dなど)を追加することで、視覚的に現実を拡張した表現ができるようになります。
身近なところで例をあげると、みなさんが普段利用しているInstagramの「ストーリーズ機能」では、2020年の2月よりARフィルターの機能が追加されました。
ARフィルターを使ってカメラが人の顔を認識すると顔の色が変わったり、ネコやパンダの耳がついたり、ルーレットが始まったりします。
このように、人の視認できる現実世界の映像に情報を追加して現実を拡張する技術のことを「AR」と呼んでいます。
ARには4種類の型がある
ARの具体的な機能をもう少し細かく分類すると、全部で4種類の型に分けられます。
ここでは、4種類それぞれの型について具体的に解説していいます。
- 画像認識型(マーカー型)
- GPS型
- 空間認識型
- 物体認識型
種類①:画像認識型(マーカー型)
画像認識型のARは「マーカー型」とも呼ばれており、画像や写真などをマーカーとして登録するとARコンテンツ情報(動画や3Dやマップ)が表示される仕組みです。
マーカーとなるモノをスマホのカメラで認識させると、ARで画像や地図がその場に浮かび上がるような仕組みであるため、スペースを取らずに商品の説明を行うことが可能です。
企業のプロモーションなどにも利用されており、今後ますます商用マーケティングでの利用が期待されています。
種類②:GPS型
GPS型のARは、あらかじめ特定の場所に「ARコンテンツを出現させる」と設定しておくことで、ユーザーが設定された地点にスマホ端末をかざした時にARコンテンツが出現する仕組みです。
位置情報だけではなく、方位やセンサーの場所などと同期させることによって、より詳細な位置にコンテンツを表示させることが可能です。
「Google Map」などの位置情報系の道案内サービスでも利用されており、現在地から目的の位置まで迷わずにたどり着けるように多く利用されています。
種類③:空間認識型
空間認識型のARは、カメラやセンサーなどを通じて現実の世界における空間(高さや奥行きなど)を把握することにより、ARコンテンツを配置できるような仕組みです。
よく利用される形式には、スマホの画面をタップすることでその位置にARコンテンツを配置する方法があります。
家具や家電などの配置シュミレーションサービスなどに利用されており、今後はますますこのような分野での発展が期待されます。
種類④:物体認識型
物体認識型のARは、マーカー型をより発展させた形式のARであり、特定の立体物を認識すると関連するARコンテンツが表示される仕組みになっています。
カメラで立体物の特徴を解析し、立体物の面に対して出現されるように設定されているARコンテンツを表示させることができます。
対象物を360度どこからでも認識できるため、マーカー型よりも機能面で優れています。
ただし、3Dデータを扱うような専門性の高い作業が必要であるということが難点です。
フィギュアやおもちゃなどの立体物に付帯させてARコンテンツを配置するなどの工夫も考えることができます。
ARの活用シーン
ARの種類がわかったところで、どういった場面において活用されているでしょうか?
続いては、ARが利用されるシーンを紹介していきましょう。
活用シーン①:ゲーム
ARが最も活用されている分野としては、専ら「ゲーム」の分野です。
わかりやすい例でいえば、2016年に世界中で話題になった「ポケモンGO」があります。
ポケモンの捕獲シーンでは、あたかも実際の風景の中にポケモンが存在しているかのような感覚を得ることができます。
他にも、日本で小学生を中心に大人気のアニメ「妖怪ウォッチ」や、2019年に発売された「Minecraft Earth」などゲーム分野でのAR活用は目覚ましいものがあります。
現実の風景に対して映像を拡張するという意味では、家庭用のゲーム機よりもスマホゲームの方が扱いやすいため非常におすすめです。
活用シーン②:不動産・インテリア
各業界の中でも最も商業的な利用でARの価値が上がっているのが「不動産・インテリア」の分野です。
物件を内見する際は、空っぽの部屋しか見ることができないため、基本的には部屋の広さや設備面が決め手になることが多いです。
しかし、実際に住んで家具を置いてみると思いのほか狭かったり、思うように家具が合わなかったりすることもありますよね。
そこで、ARの技術を使えば内見の際に家具や家電をどのように配置するかシミュレーションできるため、より物件に対するイメージが湧きやすくなります。
このような機能は「ホームステージングサービス」と呼ばれており、物件の成約率を高める上でも今後ますます重要視されていくことでしょう。
活用シーン③:医療
医療分野では、ミスが許されない「手術」にARが導入される機会が増えています。
MicroSystemsが開発している医療用デバイス「GLOW800」では、患者の器官をARによって認識し、実際に手術を行う術部の器官だけ色を変えて表示することが可能です。
術部の器官の色を変更することでメスを入れる場所がよりわかりやすくなり、他器官を傷つけてしまうリスクを減らすことができます。
また、執刀経験が浅い医師に対して熟練医師が遠隔で指示を出す際にも、ARで実際の映像を表示すればより詳細な指示を出すことができるようになります。
命を救う重要な医療分野でも、ARの技術は今後ますます導入されていくことが期待されています。
スマホでARが体験できるおすすめアプリ
では、実際にスマホでARを体験するには、どういったアプリを使えば良いでしょうか?
すぐに使えるおすすめのARアプリを7つ紹介していきます。
- IKEA Place
- ポケモンGO
- Measure
- 日経AR
- Wanna Kicks
- Adobe Aero
- アメミル
おすすめアプリ①:IKEA Place
不動産・家具メーカーに衝撃を与えたARアプリといっても過言ではない「IKEA Place」。
世界的な大手家具メーカーがARの技術を使って、家具をARコンテンツとして配置できるアプリを作ったことは大きく取り上げられました。
購入を検討している家具を選んでカメラでかざすだけで、現実世界に家具を配置することができるようになります。
これまで、家具を購入する際には、部屋のサイズに合うようにサイズ確認しなければなりませんでした。
しかし、IKEA Placeがあれば簡単に家具のサイズ感を把握することができるようになりました。
インテリアに家具が合うかどうかも把握できるため、ぜひIKEAで気になる家具がある方は「IKEA Place」を利用してみてください。
おすすめアプリ②:ポケモンGO
もはや、使ったことのない方の方が少ないと言っても過言ではないかもしれませんが「ポケモンGO」はARゲームの走りともなったスマホゲームです。
あたかも実際の世界にポケモンが現れているかのように感じることができるため、数多くの人がポケモンをゲットできる感覚を楽しんでいます。
ポケモン好きにはたまらないARゲームでもあるため、まだチャレンジしたことのない方はぜひダウンロードしてみてください。
おすすめアプリ③:Measure
「Measure」は、2018年のWWDCでアップルが発表した現物採寸アプリです。
iPhoneのカメラで捉えた物体をタップするだけで、物体の長さや奥行き、距離などを測ることができる非常に便利なアプリです。
家具の寸法を測る際やDIYをする時に部品の長さや大きさを測る際に簡単に利用することができます。
いちいち測るのが面倒くさいと感じている方は、ぜひとも「Measure」を使ってみてください。
おすすめアプリ④:日経AR
近年、売上が伸び悩んでいる新聞業界においてもARの技術は広く採用されています。
日経ARをインストールして、紙面にある「日経AR」マーカーにかざすだけで、ARで映像や音楽などのコンテンツが表示されます。
テキストだけではわかりにくい情報を理解する上でも非常に役立ちます。
日経新聞を購読している方は、ぜひインストールしてみてください。
おすすめアプリ⑤:Wanna Kicks
スマホにかざすだけで、実際にスニーカーを履くことができる優れもの「Wanna Kicks」。
ネットでスニーカーを購入すると、サイズ感・色合いが思っていたものと違ったりすることがよくありますよね。
しかし、「Wanna Kicks」を利用すればARによってサイズ感や色合いを簡単に把握できるため、思っていたものと違うものを買ってしまうリスクはありません。
ナイキやアディダス、VANSなどさまざまなブランドのスニーカーを履くことができるため、とても便利です。
おすすめアプリ⑥:Adobe Aero
Adobeが2019年に発表したAR体験制作ツールの「Adobe Aero」は、現実空間に3Dモデルをサクッと作成できてしまう優れもの。
PC版では、Photoshopやillustratorとも互換性があるため、さまざまなアニメーションを自分で作ることができます。
アプリでは、作ることよりも実際に体験することに重きが置かれており、すでに用意されている3Dモデルを簡単に現実世界に配置することが可能です。
また、配置だけではなく自分で自由に動きをつけることができるため、AR制作を体験する意味ではこの上ない便利なツールであることがわかります。
おすすめアプリ⑦:アメミル
気象レーダーARアプリの「アメミル」は、降雨情報をリアルタイムで確認することができるアプリです。
もちろん、雨雲レーダーのように現時点での雨雲の動きなどの情報を得ることも可能ですが、注目したいのは3D/ARの機能です。
カメラを起動して雨が降っている方角を見ると、画面上で雨が降ってきます。
これにより、雨がどの方角からどの程度降ってくるのかを理解できるため、より正確に降雨量を予想することができるようになります。
ゲリラ豪雨なども多い夏にはもってこいのARアプリなので、興味のある方はぜひ利用してみてください。
まとめ
ARの具体的な機能の解説に加えて、最新のおすすめARアプリについて解説しました。
トレンドの技術でもあるARは、今の所スマホゲームやカメラフィルターとして利用されることがほとんど。
しかし、今後はもっとビジネス分野での活用事例が増えていき、先程の不動産や医療といった分野以外にも教育や観光などの分野も活躍が期待されています。
ARの機能をしっかり理解して、いち早く新しい便利な技術を積極的に使っていける人材になりましょう!
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